コンプレッサーの種類とその構造

斜板式(固定容量型)

構造

このコンプレッサーは、イラストのような部品で構成されています。エンジンからの動力でシャフト、斜板が回転するとピストンが往復運動します。1本のピストンの両側にシリンダー室が形成され、ピストン前後で吸入→圧縮→吐出が行われます。

作動

ピストンが左に移動すると、ハウジング内の吸入室とシリンダー内の圧力差により、サクションバルブが開き、シリンダー内に冷媒が吸入されます。逆に、ピストンが右へ移動するとサクションバルブが閉じ、冷媒は圧縮されます。圧縮が進むとシリンダー内の冷媒圧力により、ディスチャージバルブが開き、高圧配管に圧縮された冷媒が送り出されます。(サクションバルブとディスチャージバルブは、冷媒の逆流も防いでいます。)特性、信頼性に総合バランスのとれたコンプレッサーです。小型車・ミニバン・大型バス・建機など世界中で幅広く採用されています。

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ベーン式(固定容量型)

構造

このコンプレッサーは、ローターとローターに組み込まれた5枚のベーンとシリンダーに加え、2枚の吐出弁と前後のサイドプレートで構成されています。5枚のベーンは、ローターの回転に伴い、シリンダー内周面に押し当てながら回転します。

作動

ローターの回転に伴い、シリンダー室の容積が増加していく過程で、吸入ポートから冷媒が、シリンダー室へ吸入されます。冷媒の吸入終了後、各ベーンで密閉されたシリンダー室内の冷媒は、ローターの回転に伴って圧縮され、吐出圧力に達すると吐出弁から吐出されます。吸入ポートと吐出ポートは、それぞれ2個設けられており、ローターが1回転する毎に10回冷媒を吐出します。

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スクロール式(固定容量型)

構造

このコンプレッサーは、一対のうず巻き形をした固定スクロールと可動スクロールとで構成されています。シャフトの回転により、2つのスクロールで仕切られる空間の容積が変化し、冷媒を吸入・圧縮します。

作動

可動スクロールが旋回運動をすると、固定スクロールとの間にできる空間が移動しながら、その容積を徐々に小さくしていきます。吸入ポートから吸入された冷媒は、可動スクロールの旋回運動で次第に圧縮され、可動スクロールが約3回転目に吐出ポートから、吐出されることになります。実際には、1回転毎に1回、冷媒を吐出することになります。静粛性、効率性に優れるコンプレッサーです。主に軽自動車・小型車に採用されています。

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片側斜板式(可変容量型)

構造

このコンプレッサーの構造は、イラストのようになっています。冷媒を吸⼊・圧縮する⽅法は、固定容量型斜板式とほぼ同じですが、固定容量型斜板式と違いシリンダーは、⽚側だけについています。

作動

コンプレッサー内部の圧⼒バランスを変化させることにより、斜板の角度を変えピストンのストロークを⼤きくしたり、⼩さくしたりして必要な容量の冷媒ガスを吸⼊・圧縮しています。これにより安定した温度制御、ドライブフィーリングの向上が可能になります。 吐出容量を可変する⽅法としては、内部可変式と外部可変式があります。

内部可変式

車室内の熱負荷に応じて変化する冷媒ガスの吸入圧力を制御弁が感知し、コンプレッサーを最適な容量に制御します。これにより滑らかな運転と快適な温度制御を実現しています。

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外部可変式

外部からコンプレッサー制御弁に電気信号を送り、コンプレッサーが最適な容量で運転できるよう、きめ細かな任意制御を可能にしました。これにより大幅な省力化を実現しています。

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