カーエアコン用電動コンプレッサーのスクロール形状が日本機械学会賞(技術)を受賞

お知らせ 製品・技術

【電動コンプレッサー「ESH34」】

株式会社豊田自動織機のカーエアコン用電動コンプレッサー「ESHシリーズ」に採用した新たなスクロール形状が、日本機械学会賞(技術)を受賞しました(株式会社豊田中央研究所と共同受賞)。これは、一般社団法人日本機械学会が「日本の機械工学・工業の発展を奨励する」ことを目的に、幅広い分野における論文や技術を表彰するものです。
このたび当社が受賞した日本機械学会賞(技術)は、機械工業に関する新技術で画期的な新製品の開発、製品の品質または性能の向上あるいは生産の向上に寄与し、経済および社会的貢献の大きいものを受賞の対象としており、当部門での受賞は当社として初となります。
今回受賞した技術を採用した電動コンプレッサー「ESHシリーズ」は、圧縮性能・耐久性・静粛性に優れた製品として、世界中のカーメーカーが生産する電動車に搭載されています。

【受賞テーマ】
「新歯形理論による電動車用低騒音スクロール圧縮機」

【受賞者】
山下 拓郎(やました たくろう)
前田 拓巳(まえだ たくみ)
※株式会社豊田中央研究所 友田 達規(ともた たつのり)氏、近藤 靖裕(こんどう やすひろ)氏、堀 英津子(ほり えつこ)氏との共同受賞

【技術概要】
スクロール式圧縮機では、1対のスクロール形状が噛み合い三日月形状の圧縮室を形成する。この圧縮機は、旋回スクロールの公転運動により容積を縮小しながら徐々に中心部に移動し、冷媒を圧縮する。圧縮工程における半径方向圧縮力の変動が加振力の原因であり、騒音・振動低減のためには変動を小さくする必要がある。しかし、圧縮力の総和ならびにその変動は従来設計法では制御することが困難であり、長年にわたって騒音・振動低減の根本的な障害となっていた。
圧縮力変動の低減を可能にするため、歯車用に構築された新歯形理論を発展させ、インボリュート曲線における基礎円半径の可変化と形状の非対称化により、圧縮力と歯厚を所望の値に設定できる新たな形状を創出した。これにより、歯厚の調整が可能になり、スクロールの巻き数増、噛み合う接触位置の調整により圧縮力変動の小さいスクロール形状を設計した。

【図1 スクロール形状】
【図2 電動コンプレッサー断面図】

【参考:一般社団法人 日本機械学会】
https://www.jsme.or.jp/