新型「MIRAI」に搭載 FCエアコンプレッサーと水素循環ポンプを新開発

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株式会社豊田自動織機 (社長:大西 朗) は、このたび、燃料電池向けのエアコンプレッサーおよび水素循環ポンプを新たに開発しました。これらの製品は、12月9日にトヨタ自動車株式会社が発表した燃料電池自動車 (以下、FCV)、新型「MIRAI」に搭載されています。

気候変動問題は、世界各国が取り組む最重要課題です。わが国においても、2050年に向けた脱炭素社会実現への目標が掲げられました。このような状況を背景に、水素を燃料とし、走行時は水だけを排出する「究極のエコカー」として、FCVへの期待は更に高まっています。さらに、FCシステムの商用利用など、水素利用は様々な形で進んでおります。

FCVの普及を見据えて開発された新型「MIRAI」は、「こんなクルマが欲しかった。それがMIRAIだった」を目標に、航続距離が延長され、スタイリングや走行性能なども全方位で見直されました。当社製品も、高効率化、小型・軽量化などにより、同コンセプト実現に貢献しております。
今回開発したエアコンプレッサーは、量産品としては世界初となる「可動ローラー式増速機」を用いた遠心式を採用することで、従来モデルから24%の圧縮効率向上、35%の軽量化、45%の小型化を実現しました。また、水素循環ポンプは、「新シール構造」を用いて、素材を従来のステンレス製からアルミ製に変更し、41%の軽量化を実現しました。

豊田自動織機では、FCV向け製品に加え、主力事業である産業車両分野においても、FCフォークリフト、FCトーイングトラクターなど、FC技術の普及に取り組んでおります。今後も、FC関連製品のラインアップ拡充を推進し、水素社会の実現に貢献してまいります。

開発した製品のFCVにおける役割と特長は以下の通りです。

1. FCVにおける当社製品の役割

FCVは、酸素と水素をFCスタック内で反応させることにより発生した電気を用い、モーターを駆動して走行します。酸素はエアコンプレッサーにより大気を吸引・圧縮して、FCスタックへ供給されます。また、水素は水素ステーションにて充填された高圧水素タンクから供給されます。さらに、発電時、未反応だった水素と発生した水は、水素循環ポンプによりFCスタックから吸引されます。水素は再度FCスタックへ送られ無駄なく使用されると共に、余分な水は外部に排水されます。このように、エアコンプレッサーと水素循環ポンプは、FCVの発電システムにおいて重要な役割を担っています。

FCV発電システム

2. エアコンプレッサー

FCVは、始動後、絶えず酸素と水素をFCスタック内で反応させるため、エアコンプレッサーはアイドリング時の小流量から加速時の大流量まで、効率よく大気を吸引・圧縮することが求められます。
この度当社は、カーエアコン用コンプレッサーで培った圧縮技術をベースに、エアコンプレッサーの空気圧縮部を、量産品としては世界初となる「可動ローラー式増速機」を用いた遠心式に変更しました。「可動ローラー式増速機」を用いることで、圧縮部のインペラーを自動車エンジン用ターボチャージャー並に超高速回転(183,700r/min)させることが可能になり、新型「MIRAI」の高出力化に大きく貢献しております。
さらに、増速機内部の可動ローラーが空気流量の変化に対応しながら最適位置に動き、モーターからインペラーへ動力を伝達することで、小流量時・大流量時共に効率的に空気を圧縮し、従来モデル比で圧縮効率を24%向上させることができました。同時に、35%の軽量化、45%の小型化も実現しております。

エアコンプレッサー
増速機

3. 水素循環ポンプ

水素循環ポンプは、発電時、未反応だった水素と発生した水を、効率よく循環させることが求められます。
今回開発した水素循環ポンプは、「新シール構造」を用いることで耐食性を向上し、素材を従来のステンレス製からアルミ製に変えることが可能になりました。これにより、41%の軽量化を実現しております。

水素循環ポンプ
新シール構造

なお、新型「MIRAI」には、上記の他、当社製カーエアコン用コンプレッサーおよび水素循環ポンプ用インバーターが搭載されております。


※当社調べ

以上