世界初※1、リサイクル炭素繊維を構造体に適用
~ナカシマプロペラの船舶用CFRPプロペラに採用、製造法承認を取得~
株式会社豊田自動織機(以下、豊田自動織機)は、ナカシマプロペラ株式会社(以下、ナカシマプロペラ)と共同で、廃棄予定の炭素繊維から製造したリサイクル炭素繊維紡績糸を使った船舶用プロペラを開発しました。リサイクル炭素繊維紡績糸の製造には、当社が培ってきた紡績・製織・糸品質測定技術に加え、使用済み炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から回収・再生した炭素繊維を紡績する、独自の技術を活用しております。
新材に近い力学特性の維持と資源循環利用推進の両立が可能で、このリサイクル炭素繊維紡績糸を使った3次元織物※2を材料とした船舶用CFRPプロペラが、このたび「製造法承認」を取得しました。これは日本海事協会による、船舶が安全に航行するために必要な基準を満たした製造プロセス・部品であることを認証する制度です。リサイクル炭素繊維を構造体に適用するのは世界初となります。
CFRPとは、プラスチックに炭素繊維を強化材として加えたもので、鉄と比べて軽量ながらも重量当たりの強度や耐腐食性に優れることから、航空機の機体、エンジン部品、自動車の外装や構造材、風力発電機のブレードなどに採用されています。その一方で、資源循環に向けたリサイクル技術の開発が、課題となっています。
そこで当社は創業以来、約100年にわたり培ってきた紡績技術や、スイス子会社Uster社※3の糸品質測定の知見を活用し、使用済みCFRPから再生した綿状の炭素繊維の方向を揃えて均一・均質な紡績糸にする技術の開発に取り組んできました。炭素繊維100%の高品質な糸のため、そのCFRPは新材に近い強度、弾性率や有用性を再現します。合わせて製造時のCO2排出量を、新材と比べ約7~8割※4減らせます。
この技術を基に、当社は2024年からナカシマプロペラと共同で、廃棄予定の炭素繊維から製造した紡績糸を素材とする3次元織物を作成し、プロペラの材料とする開発を進めてきました。今回の開発では、東レ株式会社の協力を受けて、同社がプロペラ向け材料として供給している炭素繊維製造工程から発生する端材を材料として活用しました。完成したCFRPプロペラは高い強度・信頼性を確保しています。
こうした性能を踏まえた製造法承認の取得は、これまで無かったリサイクル炭素繊維の市場の創出と、海事分野における脱炭素化・省エネルギー化の実現に向けた重要な成果です。
豊田自動織機は、産業横断的な炭素繊維循環システムの構築をめざしています。当社のリサイクル紡績技術は、さまざまな製造現場などから発生する炭素繊維に適用が可能です。今後もパートナー各社との共創を通じて素材・製造技術の強みを社会実装へとつなげ、資源循環に配慮したモビリティ・産業の発展に貢献してまいります。
| ※1、4: | 当社調べ |
| ※2: | 経(たて)、緯(よこ)、厚みの3方向に糸が配置された立体構造を有する織物 設計の自由度が高く、特定の部位に必要な強度や性能を持たせることができるため、航空宇宙、自動車等、軽量化と高強度が求められる分野で使用されている |
| ※3: | 紡績糸品質測定機器・綿花格付機器の開発、製造、販売を行う |
<リサイクル炭素繊維紡績糸の製造工程>
| カード: | くしけずって繊維を1本1本に分離し、ゴミや短い繊維を除き、残った長い繊維をある程度平行状態に揃えて集束し、紐状の「カードスライバ」にする |
| 練条: | スライバ数本を合わせ、数倍に引き伸ばしながら繊維を真直ぐにして太さのムラの無い「練条スライバ」にする |
| 精紡: |
スライバをさらに引き延ばし、所定の太さに細くし、ボビンに巻き取って最終製品の糸にする |
◇ご参考
・本件に関するナカシマプロペラリリース
https://www.nakashima.co.jp/news/detail/211
・CFRP循環システム、リサイクル炭素繊維について
https://www.toyota-shokki.co.jp/news/item/20260914_document01.pdf

