BEV向けに搭載性を高めた車載電源ユニットを開発

~新たな制御技術で各国の送電方式と幅広い車種展開に対応~

ニュースリリース 製品・技術

株式会社豊田自動織機は、電気自動車(以下、BEV)向けに、充電・給電などを担う車載電源ユニット「Electricity Supply Unit」(ESU)を開発しました。電力事情の異なるさまざまな国・地域における複数の送電方式に新たに対応すると同時に高出力化を実現し、世界各地で小型車から大型車まで多様な車両に搭載可能な製品ラインアップをそろえました。高出力化や電源対応に加え、小型・低背化により搭載性能を向上しており、今回開発したESUは、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ自動車)が10月9日に販売を開始した、新型「bZ4X」に採用されました。

ESUは、普通・急速充電機能と給電機能、DC-DCコンバーター(電圧変換)機能、電力分配機能を統合した、BEVの効率的な電力利用に関わる重要なパワーエレクトロニクス部品で、充電スタンドからの充電、家庭用電化製品への給電、車内の電子機器を動作させるための電力供給などを行います。

当社はBEV向けに、これまで充電器とDC-DCコンバーターを一体化した小型・軽量ユニットを供給してきました。今回は急速充電用に高電圧・高電流に対応したDCリレー、電力を分配するPower Distribution Unit(PDU)、給電機能を一体化した、ESU全体の開発を手がけました。当社独自の電流制御方式を世界で初めて※1適用することで、日本や北米で主流の単相と、欧州を中心に採用されている三相といった、国や地域で異なる送電方式を一つの回路で制御することを可能にし、さまざまな国の家庭用電源からの充電に対応します。
高出力化も実施し、出力7kWから22kWまで、バリエーションを6種類に広げて同時展開することで、車格の異なる多様な車種展開ができるようになり、量産効果によるコスト低減にも貢献します。主要市場でのユーザーニーズに応えるため、北米で最も普及している充電規格「NACS」にも対応します。
これらの機能を追加しつつ、構造を最適化することにより、従来に比べ26%の小型化※2も実現しています。

当社は1990年代から、ハイブリッド車をはじめとするトヨタの電動車向けに車載充電器およびDC-DCコンバーター、ACインバーターなどを開発・生産し、パワーエレクトロニクス技術を磨いてまいりました。2050年のカーボンニュートラル実現や自動運転、ソフトウエアによる機能向上が可能なSDV※3といった観点からBEV市場は広がりつつあり、パワーエレクトロニクス技術の重要性は一層高まってまいります。

豊田自動織機は、今後も小型・軽量・高効率なパワーエレクトロニクス技術の開発に取り組むとともに、このたびのESUを含むカーエレクトロニクス製品の提供を通じて、BEVの普及に貢献してまいります。

※1 充電器への適用は世界初、当社調べ
※2 出力性能の向上により、単位出力あたりの容積で26%小型化(単相11kW仕様と比較した場合)
※3 Software Defined Vehicleの略

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【充電・給電・電圧変換・電力分配機能を一体化した、新開発のESU】

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【ESUの機能】