「豊田ローター式オープンエンド精紡機BD200型」が国立科学博物館の重要科学技術史資料に登録
株式会社豊田自動織機が1968年から製造・販売した「豊田ローター式オープンエンド精紡機BD200型」が、独立行政法人国立科学博物館の2025年度「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」に登録されました。本機は、当時のリング精紡機の約3倍もの生産性を実現し、日本の紡績技術の発展に大きく貢献しました。
重要科学技術史資料は、科学技術の発達上重要な成果を示し、次世代に継承していくうえで重要な意義を持つものや、国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えたものに該当する資料を選定・登録する制度です。2008年度の制度開始以来、当社製品の登録は今回が初めてとなります。
「豊田ローター式オープンエンド精紡機BD200型」は、1967年にチェコスロバキアで発表された原型に改良を加え、実用化したものです。ほぐされた繊維を高速回転するローターに送り込み、遠心力で貼りついた繊維束を引き出しながら撚り掛けと巻取りを行う機構をそなえ、従来のリング精紡機では分かれていた粗紡機と精紡機による撚り掛けと巻取りの工程を集約したうえ、撚り掛けの高速化により、生産性が約3倍に向上しました。1968年の技術導入からわずか1年で実用化し、広く普及させたという点で、紡績技術史上重要であると評価されたものです。
豊田自動織機は、長年培ってきた技術力を活かし、今後も繊維産業の持続的な発展と技術革新に貢献してまいります。
【展示情報】
「豊田ローター式オープンエンド精紡機BD200型」は、現在豊田自動織機での製造は終了していますが、トヨタ産業技術記念館で常設展示しており、実機を20錘に短縮したものをご覧いただけます。
トヨタ産業技術記念館ホームページ:https://www.tcmit.org/
① コーミングローラにより、繊維を一本一本にほぐす
② 高速回転するローターに送り込む
③ ローター内では、綿菓子製造機のようなイメージで繊維束がローター壁に貼りつく
④ 繊維束を引き出しながら撚り掛けと巻取りを行う