豊田自動織機、金属の破損原因を自動解析する技術を開発

~熟練技術者のノウハウを学習した自己成長するAIで、解析時間を最大90%短縮~

ニュースリリース 製品・技術


20260929_Automated Analysis01.jpg
AIが破損領域と観察すべき箇所(左図赤点)を認識し(40倍)、自動で倍率を高めて破損原因を推定(右図、5000倍)

株式会社豊田自動織機(以下、豊田自動織機)は、金属が破損した原因を破断面から推定する「破面解析」において、AIを活用し、観察すべき箇所の特定から破損原因の推定、解析結果報告書の作成まで一連の業務を自動化する技術を開発しました。この技術により、これまで熟練技術者の知見に依存していた破面解析業務を自動化・標準化するとともに、1件あたり8~20時間かけていた解析工程を2時間程度に最大90%短縮できます。さらに、運用を通じて得られる新たな解析データを継続的に学習し、判定の精度を自律的に高めていく仕組みも確立しました。

破面解析業務は、主に自動車部品などの金属製品の開発・試作過程で発生した破損の原因をナノレベルから推定して設計条件や材料選定の改善につなげるほか、製品の性能向上や品質保証の面で重要な役割を果たします。近年、電動化や自動化技術の急速な進展に伴い、より高性能な製品をより迅速に開発する必要が高まる中、製品開発を支える破面解析業務の標準化や効率化が求められています。

当社は、1947年に材料研究を専門とする部署を立ち上げ、約80年にわたり当社製品の主要材料である鉄やアルミなどの金属の解析ノウハウを蓄積してきました。また、熟練技術者が金属の破損原因を分類した大量の解析データを保有しています。今回開発した技術は、こうした熟練技術者が解析した過去10年分の画像データを機械学習させたAIと、電子顕微鏡の自動操作技術を組み合わせたものです。これまで熟練技術者の専門知識と経験に依存していた破面解析を自動化し、直径数センチメートルの破断面から、1マイクロメートルほどしかない破損原因の痕跡を見つけ出して解析することが可能です。観察サンプルを電子顕微鏡にセットするだけで、分析業務※1の主要工程を自動で実行します。破面解析における一連の業務を自動化するのは世界初※2となります。

現在、熟練技術者による判定との一致率で表現した場合、観察すべき箇所の特定で95%以上、破壊の種類(疲労破壊※3、延性破壊※4など)の判定で90%以上の性能を確保しています。今後は、当社事業部での技術実装をめざし、まずは2027年度内をめどに実際の分析業務への適用を開始します。運用を通じて得られるデータをもとに、精度のさらなる向上や解析可能な材料の拡大を進めてまいります。

20260929_Automated Analysis02.jpg
開発技術による分析業務の時間短縮のイメージ
依頼の受付から報告するまでの業務全体では、1~2週間の作業を2~3日に短縮した
20260929_Automated Analysis03.JPG

運用を通じてAIが自己成長するシステムのイメージ
モデルの信頼性を継続的に改善する仕組み「MLOps※5」を構築した

※1

本リリースでは、依頼の受付から報告までの一連の業務を「分析」、
そのうち破断面を読み解く工程を「解析」と区別

※2 自社調べ
※3 繰り返し力が加わることで徐々に進む破壊
※4 一度に過大な力が加わったことによる破壊
※5 機械学習(Machine Learning)と運用(Operations)を合わせた造語。
運用を通じて判定の信頼性を継続的に改善できる