豊田自動織機、貴金属フリーで高性能な水素製造装置用電極を開発
~バイポーラ型ニッケル水素電池の技術をアルカリ水電解に応用~
株式会社豊田自動織機は、車載電池(バイポーラ型ニッケル水素電池)の開発で培った材料技術・分析技術を活用した、アルカリ水電解式水素製造装置向けの電極を開発しました。この電極は、二ッケルを主成分とする独自設計の材料で構成され、白金やルテニウムなどの貴金属やコバルトを使用しないため、サプライチェーンリスクの低減に貢献します。また、貴金属やコバルトを使用した電極と同等の高い電解効率を実現するとともに、その効率を低下することなく維持する高い耐久性を有することも試験※1にて確認しています。
脱炭素社会の実現に向けた次世代エネルギーとして注目される水素の需要は年々高まっており、水素を「つくる」「はこぶ」「ためる」「つかう」ためのサプライチェーン構築や、各工程の技術開発が加速しています。
水と電気から水素を「つくる」水素製造装置の市場は、2030年には、2022年比で約130倍※2にまで急拡大する見込みであり、効率的かつ安定した水素製造技術の開発が求められています。当社は、複数ある水素製造方法の中でも、ニッケル水素電池の知見を活かせるアルカリ水電解方式に着目し、水素製造のキーデバイスである電極について、独自設計の材料および製造工程の開発を進めてきました。
今後は、水素製造装置への実装に向けた試作を行い、装置メーカーやシステムメーカー等のニーズにお応えできるようさらに開発を進め、2028年頃の市場投入をめざしてまいります。
当社が開発した電極の特徴は以下の通りです。
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※1: | 当社基準による耐久評価試験 |
※2: | 出典:国際エネルギー機関(IEA)、2022年までの累積導入量約1ギガワットから、2030年に約134ギガワットに拡大する見通し |
※3: | 電流密度600mA/cm2における電解効率 |
※4: | 風力発電の年間停止回数(約90回/年)を前提に算出 |
※5: | 2030年における1000時間あたりのスタック劣化率目標は0.12% (経産省 水素・燃料電池戦略ロードマップより) |