ごあいさつ
株主・投資家の皆様へ
平素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申しあげます。
2024年度の世界経済はインフレ鎮静化を背景に緩やかな成長を持続したものの、欧州や中東情勢をはじめとした地政学リスクの高まり、各国の経済政策動向の変動等により先行きの不透明感が強まりました。日本経済においては、賃上げや企業の設備投資意欲が継続する等、前向きな動きはありましたが、緩やかな回復にとどまりました。このような情勢の中、品質優先を基本に、各地域それぞれのお客様を大切に、より良い製品とサービスをお届けすることに注力してまいりました。その結果、2024年度の売上高は4兆849億円、営業利益は2,216億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,623億円と増収増益になりました。
私たちを取り巻く環境は、持続可能な社会の実現に向けた要請の多様化や技術革新が急速に進む中、電動化、自動運転、異業種の参入による業界構造の変化等、競争がますます激化しています。当社は、サプライチェーンの安定確保やコスト増への対応力を強化するとともに、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池自動車といった次世代モビリティ分野での技術革新や生産基盤の充実に取り組んでおります。加えて、環境負荷の低減やカーボンニュートラル社会の実現を目指した革新的なものづくりを推進し、お客様に「安全で安心な製品」を確実にお届けできるよう注力しております。
当社は、2024年3月に、エンジン国内認証における法規違反に対する抜本的な再発防止策を策定し、真摯に取り組んで、当社グループにおける、グローバルでのコンプライアンス意識向上やガバナンスの強化をはかり、ステークホルダーの皆様との信頼関係を礎に、新たな成長ステージへの進化を目指してまいります。
トヨタグループは、「ヒト」、「モノ」、「情報」、「エネルギー」の移動を支えるモビリティ産業を牽引する企業グループへの変革を進めております。当社は、産業車両事業、物流ソリューション事業での取り組みをさらに加速させ、モノが移動するすべての現場への貢献を続け、トヨタグループが支えていく「モノの移動」の領域で、中心的な役割を果たしていく所存です。
2025年6月3日には、トヨタ不動産(株)による「株式会社豊田自動織機の株券等に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」の発表があり、当社は同日、この予定される公開買付けに賛同することを発表いたしました。今後、公開買付けが実施され、当社の非公開化に向けた手続きが進んでいく見込みですが、これは、当社が新しい道に踏み出し、さらに企業価値を高め、社会に貢献する存在であり続けるための選択でございます。ステークホルダーの皆様におかれましては、引き続きのご支援とご指導を賜りますよう、お願い申しあげます。

2025年7月
取締役会長 寺師 茂樹
取締役社長 伊藤 浩一