従業員
人材戦略の取り組み
基本的な考え方
会社と社員は「会社の持続的発展」という共通の⽬的の達成に向けて、それぞれの責任を果たし合う真摯な信頼関係を築いています。「個を育てれば組織が育ち、組織が育てば会社が育つ」という考え方のもと、社員の能力を最大限に引き出し、成長意欲を後押しすることで「全員が活躍できる会社」を⽬指しています。その実現に向け、当社は次の4つのテーマの人材戦略に基づき、人材育成と働く環境の整備に取り組んでいます。

経営人材の育成
積極的なグローバル化やM&Aを行う中で、国内外の多様なリーダーの育成がより重要となっています。それを受け、将来の経営リーダー候補を対象としたリーダー研修を実施し、会社のビジョン・グループ共通の価値観の共有、革新を担う人材の早期・計画的育成をはかっています。
主な取り組み
価値観共有「創業の精神・豊田綱領セッション」

社員の多様化が進んでいる背景を踏まえ、当社グループ全体への共通の価値観(判断基準・行動規範)の共有をはかるために、社祖の「創業の精神」、及び社是「豊田綱領」を再認識させる取り組みを行っています。幹部職向けには、率先垂範や部下指導を通じた自職場への価値観の浸透を⽬的とした研修を国内外で実施しています。
サクセッションプラン
国内外関係会社も含め、部門長・拠点長等のリーダーポジションについて後継者候補を特定、事業を越えた異動等、幅広い経験をさせる育成計画を策定し、早期・計画的な育成を推進しています。なおリーダーに求める要件はグローバル共通で明確にし、育成について関係者で議論する場を年1回設けています。
グローバルリーダー育成プログラム

当社グループのグローバルな成長を担う経営リーダーの育成を⽬的に、当社幹部職及び海外関係会社の幹部からの選抜者を対象に、約半年間にわたり取り組む個人課題と2週間の集合研修からなるプログラムを実施しています。プログラムを通じて受講者は、経営者に求められる基本的知識・視点や当社とそのリーダーのあり方への理解を深め、未来を構想する力を高めます。
上級マネジメント研修
広い視野・高い視座・グローバル感覚を持ち、革新に向けたリーダーシップを発揮できる人材の育成を⽬的に、基幹職の中から事業部からの推薦を得た者を対象に、外部講師のファシリテーションを得ながら、個人/チーム課題実施と集合研修を組み合わせた9か月間の研修を実施しています。
北米・欧州リーダー育成プログラム

海外M&Aにより積極的にグローバル展開しているフォークリフト・物流ソリューション事業の人材育成を促進するため、より一層の活躍が期待される人材を対象に、米国では1年間、欧州では約半年間にわたり、複数のモジュールとグループプロジェクトからなるプログラムを実施しています。プログラムを通じて受講者は、同事業や当社に関する理解を深めています。
専門性・活躍領域の拡大
一人ひとりの専門性・活躍領域の拡大が会社の競争力向上につながるという考えのもと、職場を越えた成長・活躍機会の提供、各職場におけるOJT(業務を通じた育成)とそれを補完する各種研修を実施しています。
職場を越えた成長・活躍機会の提供
社員に能力を最大限発揮して活躍し続けてもらうためには、一人ひとりの成長・活躍志向を尊重することが大切であるという考えのもと、本人の志向と職場の考えをすり合わせる「上司・部下間の対話」や、職場としての「個別キャリアプラン」策定を実施しています。また、社員に職場を越えた成長・活躍機会を提供するため、「戻り前提ローテーション」「海外研修制度」「社内公募・社内副業」「社内技能競技会・技能五輪への挑戦」等、さまざまな活躍の場を提供する施策を積極的に実施しています。
主な取り組み
上司・部下間の対話、個別キャリアプラン

半期に一度、成長・活躍志向や能力の振り返りについて上司・部下1対1で話し合う場を設定しています。対話で確認した成長・活躍志向を踏まえて各部門で一人ひとりの個別キャリアプランを策定し、ローテーションを含む育成につなげることで、やりがい向上やさらなる成長・活躍を促進しています。
戻り前提ローテーション

組織の核となる人材を一時的に他事業部/他部署の人材とローテーションさせ、異なる業務・環境で経験を積ませ、一定期間後に元の職場に戻す人事異動のしくみを立ち上げ、個人の成長とともに組織力の向上をはかっています。
海外研修制度

グローバルに活躍できる人材を早期・継続的に育成するために、職場が推薦する若手社員を海外研修生として派遣しています。
[研修のねらい]
海外での実務研修・生活により以下を習得
① 現地での仕事の仕方・特性・ビジネス慣習
② 現地スタッフと対等に渡り合える高いコミュニケーション力
③ 現地感覚・現地目線
④ 現地の文化、生活環境への適応力
社内公募・社内副業
本人自ら手を挙げて異動できる社内公募制度、現在の職場に在籍しながら他部署の業務を経験できる社内副業制度により、やりがいの向上、成長・活躍へのチャレンジを後押ししています。
社内技能競技会・技能五輪への挑戦
社内技能競技会は、社内/関係会社から集まった若手技能者が技能を研鑽する場です。「ものづくり」の現場でリーダーとなる人材育成の機会として、知識・技能レベルの向上、技能者のモチベーション向上、事業部間での技能レベルの相互確認の場として毎年開催しています。全国レベルの技能競技大会である「技能五輪全国大会」への挑戦を通じて、高度な技能を身に付けるとともに、知識・人格を備えた職場の核となる人材を育成し、会社及び日本のものづくりの発展に貢献しています。


OJT(業務を通じた育成)と研修制度
当社では人材育成の基本はOJT(業務を通じた育成)という考えのもと、一人ひとりの役割とテーマの設定~指導~評価・フィードバックというサイクルを大切にして各職場で人材育成に取り組んでいます。また、OJTを支える施策として、OJTの実施者である管理者を対象とした管理者研修や360度フィードバック、昇格等の節⽬のタイミングで会社からの期待や必要な知識を伝える階層別教育を実施しています。
OJTによる成長のイメージ

管理者向け研修

新任部室長研修・新任グループ長研修:組織の長である部室長・グループ長に対し、その役割全体像の理解及び受講者間での相互啓発・気づきの獲得、またそれらを通じ行動変容につなげてもらうことをねらい、集合研修を行っています。
国内外関係会社研修:関係会社の新任取締役・執行職に対し、本社各機能部門が講師となり、法務・経理・広報・人事・コンプライアンスといった取締役・執行職としての責任・役割について講義を行い、関係会社の経営を担う責任についての自覚と遵守すべき事項の理解・実践を促しています。
360度フィードバック

役職者(部長・室長・グループ長)が、普段の行動に関して、直属の上司以外の他者からフィードバックを受けられる施策として実施しています。周囲からどのように見られているか、また直属の上司からだけでは得られない違った角度からの自身の強み・弱みを認識することで、行動を振り返り、更なる成長につなげることをねらいとしています。
職場先輩制度・部門長面談(新入社員向け)
新入社員一人ひとりに職場先輩を付けて、身近な先輩からのサポートにより、社会人としての基礎の習得とスムーズな職場融和をはかっています。また、配属後1年が経過した段階で、部門長との面談を行い、困りごとの解消や成長に向けた期待値を伝達しています。
階層別研修
昇格者に対し、各階層の役割や必要となる知識・スキルの理解、職場での実践をねらいに、eラーニングと集合研修を実施しています。これらの研修は、国内関係会社からのニーズに基づき、その社員も受講できるものとなっています。
階層別研修体系

様々な取り組み
技術者の基礎レベル底上げ・成長加速をねらいとした基礎技術講座・ステップアップ講座や、デジタル技術を理解し活用できる人材の育成をねらいとしたデジタル教育を実施しています。また、社員の自ら学ぶ姿勢を後押しするため自己啓発制度を通じ、現在の業務への関係性を問わず幅広く学ぶ機会を提供しています。
基礎技術講座・ステップアップ講座
すべての技術系新入社員に基礎技術講座を実施し、当社技術者に必要な基礎技術を習得させています。また、2年目以降の社員にも、基礎技術講座より高度な技術を習得できるステップアップ講座を用意し、意欲のある社員の成長を後押ししています。
デジタル教育

[2030年度目標]
ITデジタル技術を活用して業務効率化を推進する人材を5,500名とする
デジタル技術を継続して業務に活用していくことを目的に実践に主軸をおいた研修を実施しています。若手・ベテラン・変革リーダー(管理職層)それぞれを対象とする講座を設け、職場推薦で受講。実践中からそれぞれの職場を巻き込み、受講後も各職場のデジタル活用の取り組みを支援することで、デジタル推進に貢献しています。
2025年度以降は、全社員対象の育成施策も展開し目標人数確保を進めていきます。

自己啓発支援
社員の知識・視野の拡大や自発的に学ぶ意欲を高めるために、自己啓発や自主研究の機会・場を提供するとともに、自己啓発を支援する手当も支給しています。
多様な人材の活躍推進
環境変化・お客様ニーズの多様化に柔軟に対応して新たな価値を生み出すために、さまざまな考え・価値観を持つ人材が最大限能力を発揮し、共創できる組織を目指しています。
性別、年齢、国籍、人種、宗教、性的指向、性自認、性表現、障がい、経験、価値観など目に見えない違いも含め、社員が互いの違いを認め合い、尊重し合う組織風土の実現に向けた取り組みを進めています。
女性の活躍推進
性差なく一人ひとりが活躍できることを目指し、社員の意識改革・女性のキャリア支援・柔軟な働き方の推進などの切り口でさまざまな取り組みを行っています。
また、女性への健康支援の観点から、全社員向けの基礎知識動画の配信や、専門医との相談窓口の設置などの取り組みを行っています。
これらの取り組みの結果、「えるぼし」の認定を受け、「あいち女性輝きカンパニー優良企業表彰」を受賞しました。



障がい者採用、活躍の促進

「障がい者と健常者が一緒に仕事をし、働きがい・生きがいを共有する」という基本的な考えのもと、毎年継続的に障がい者の採用を行っており、採用にあたっては、事前に就労体験(インターン)を実施し、より安心して入社できる機会を設けています。入社後は公平な成長・活躍機会が得られるように研修時の手話通訳士の派遣、ブギーボードやUDトーク(リアルタイムに発言を文字化するアプリ)などコミュニケーション支援ツールの準備、上司・先輩による面倒見に加え、工場総務、独身寮、人事部などに相談員を設置し、職場をサポートする体制を構築しています。
また、各階層別研修時に障がい者自身を講師に招いた研修を実施し、障がい者に対する理解をより深め、職場風土の醸成をはかっています。
■障がい者雇用率(単独):2.68%


年齢によらず活躍し続けられる職場づくり
技能職高年齢者(50歳~64歳)における直接部門で働く人の割合は、2024年度末には約70%、約1,300名に達し、今後も増加する見通しのため、生産現場でいきいきと働くことができるよう、身体的負担を減らしたラインづくりを進めています。取り扱う重量や作業環境を高年齢者に配慮した基準に設定する、デジタル技術を取り入れる等、改善した工程数は2,400まで増加しました。今後もさらなる改善を進めていく計画です。
海外の仲間との相互理解促進
多様な国・地域で働く人材が相互理解を深めることを⽬的として、海外拠点へ出向者、駐在員、海外研修生を派遣しています。さらに、海外拠点の社員が当社で一定期間勤務するICT制度※1を積極的に活用し、外国人人材の受け入れを進めています。また、2025年度からは生産現場にも外国人技能実習生を受け入れる予定です。
※1:入国管理法の企業内転勤(Intra Company Transferee)に基づくTICOへの社員派遣制度


キャリア採用の強化


外部から多様な知見を取り入れるため、キャリア採用を強化しています。特に事務・技術職では、従来の専門性に特化した即戦力の採用に加え、ポテンシャルを重視した第二新卒採用の強化やリファラル採用※2を導入し、その結果、2024年度の事務・技術職のキャリア採用者数は、総合職採用者数の32%に達しました。キャリア採用者は希望する事業部・職種で入社した後、導入研修を経て各職場で活躍しています。さらに、2025年度には、この割合を39%に引き上げる計画です。また、生産現場では、優秀な人材の確保による安定生産に向けて、期間契約従業員からの正社員登用を積極的に進めています。
※2:自社の社員に採用候補者を紹介してもらう採用方法
活躍を後押しする環境の整備
社員がそれぞれのライフステージにおいて、自分らしく能力を発揮しやりがいを感じられるよう、支援の充実に取り組んでいます。また、毎年実施する従業員意識調査の結果をもとに、職場改善活動を進め、組織の成長につなげています。加えて、設備や制度の両面から社員が安心して働ける環境を整備し、さらなる活躍を後押ししています。仕事を離れた場面においても、家族を含めた交流の場を定期的に提供し、人間関係や信頼関係づくりをサポートしています。
妊娠・出産・育児に対する支援
妊娠期 | 仕事と育児の両立支援ハンドブックの配付 オンデマンドでの育児休職前セミナー |
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出産時 | 妻出産公休 出生祝金の支給 孫の誕生に伴う里帰り支援公休 |
復職時 | 復職後の働き方等を上司と相談する復職前面談 |
両立時 | 育児のための短時間勤務(子が小学校卒業前まで) 事業所内託児所 保育費用補助(シッター利用、親族旅費、託児施設料補助) 子の看護のための公休 在宅勤務 |
その他 | 育児、介護、配偶者転勤による退職者の再雇用制度 会社イベントへご家族をご招待(工場見学、運動会、夏祭り等) 配偶者転勤帯同休職 |
介護に対する支援 |
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不妊治療に対する支援 |
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主な取り組み
仕事と家庭の両立支援


育児については、子が小学校卒業まで利用可能な短時間勤務制度や託児所の設置、学校行事への参加にも柔軟に対応可能な子の看護のための公休、不妊治療のための公休付与、資金面での支援等、個々の状況に応じた支援制度の充実に努めています。
また、本人・上司・人事総務部門が参加する育休復職前面談を実施し、復帰時の不安の解消をサポートしています。
介護については、732日の介護休職期間や分割取得の上限撤廃等、法定を超える制度を整備しています。また、ハンドブックの配付やオンデマンド動画、メールマガジンの配信を通じて、介護に関わる基礎知識や制度理解の促進、さらには職場風土の醸成にも取り組んでいます。
これらの取り組みの結果、「プラチナくるみん」の認定を受け、「愛知県ファミリーフレンドリー企業表彰」を受賞しました。


男性の育児参画支援
男性の育児参画を支援するため、育休取得者向けの制度紹介動画、男性育休取得者の体験談紹介、パタニティハラスメント※3防止に向けた上司向け研修等、育休の申し出をしやすくするための風土醸成に取り組んでおり、社員全員が取得できる環境を実現しています。
※3:男性の育児参加の権利や機会を侵害するハラスメント
柔軟な働き方の整備
柔軟な働き方の実現に向け、コアタイムのないフレックスタイム制度や回数制限のない在宅勤務制度、時間配分や手段を自ら決定し、成果創出につなげる裁量労働制度等を導入しており、各人のライフスタイルに合わせ、高い生産性を発揮できる働き方の選択肢を整えています。


メリハリある働き方の推進
法令に基づいた労務管理に加え、時間外労働の労使目標を設定し、長時間労働の抑制に取り組んでいます。また、年次有給休暇の計画的な取得を奨励するため定期的な呼びかけを行っており、その結果、取得率は94%(24年度)を達成しています。さらに、安心・快適に住める寮・社宅を新築するとともに、安価に利用可能な自社所有の保養所や、社員向けレストラン等を擁した福利厚生施設を運営し、社員と家族のプライベートの充実や社員が健康に安心して働き、仕事の活力につなげることができる環境整備に力を入れています。




従業員意識調査
職場改善の取り組みの一つとして、全部門を対象に毎年実施しています。「会社への誇り」、「仕事のやりがい/仕事を通じた成長実感」、「自職場の風土/組織の連帯感」、「上司のマネジメント/信頼感」等、さまざまな観点から確認するとともに、当社の環境変化に合わせて設問を毎年見直しています。結果は全社員に公開しており、職場改善に向けた取り組みを部門長が責任者となって部員全員で取り組んでいます。

仕事を離れた場面での人間関係・信頼関係づくり
仕事を離れた場でも人間関係・信頼関係づくりを後押しするため、さまざまなコミュニケーション活動に注力しています。職場の親睦会費用については、会社が一部を負担し、社員同士が交流を深めるきっかけとして活用しています。毎年各拠点で開催するお祭りには、社員の家族や地域住民も含め15,000人以上が来場し、お楽しみいただいています。また、全社駅伝大会を開催し、関係会社を含む多くのチームが参加する盛大なイベントとなっています。これらの活動を通じて、社員同士の相互理解を深め、当社全体の一体感醸成に努めています。


安全衛生
基本的な考え方
当社では、社是にある「温情友愛の精神」の考え方に基づき、「安全の拠りどころ」、「めざすべき姿」について協議を重ね「安全ビジョン」を2013年に制定し、豊田自動織機グループ全拠点に展開しています。


安全衛生の推進体制
「健康と安全をすべてに優先させる」ことを基本に、中央安全衛生委員会や工場安全衛生委員会などを通じて、労働災害および職業性疾病の撲滅に取り組んでいます。
安全衛生マネジメントシステム
「労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)」の考え方に基づき、各工場安全衛生委員会委員長(役員等)をトップとした各工場(事業部)管理体制の整備や、リスクアセスメントを基軸とした人・モノ・管理面での安全衛生活動の継続的な改善を行っています。


安全衛生教育
労働災害や職業性疾病の未然防止に必要な知識・意識・技能を身に付けるため、法令で定められた知識・技能習得教育や安全意識向上教育のほか、階層別・職種別教育等、積極的に取り組み、安全第一を「実践できる」人づくり・職場づくりを推進しています。

労働災害や職業性疾病の再発・未然防止
当社では「重大・準重大災害※1ゼロ」達成を⽬指し、再発・類似災害防止に向けたさまざまな活動に取り組んでいます。
特に重大災害につながる恐れが極めて高い「機械動力による挟まれ・巻き込まれ災害」を撲滅するため、物的な対策として「機械設備内に進入するときは確実に動力遮断する」しくみを対象となるすべての機械設備に導入しています。また、人的な対策として「異常処置作業(異常状態の復旧等)」を行う場合、そのリスクレベルに応じて、個人の行動特性※2を考慮した適正配置等をルール化するとともに、機械設備内に進入する際は「必ず止め(動力遮断)他人の誤操作防止(ロックアウト)」を実践するよう作業者に周知(教育)し、重大災害発生リスクの低減に努めています。
その他、当社独自のシステム(EMIS※3)を活用し、材料特有の性状や取扱量・頻度及び使用方法等の条件をもとに、使用化学物質の危険有害性リスクを評価し、使用可否判断を行っています。加えて、使用時の注意事項や、法令に基づいた管理方法(保護具等)の情報を作業者に提供することで、化学物質による職業性疾病(急性/慢性中毒、臓器/神経障害、薬傷等)の未然防止をはかっています。
※1:死亡災害及び重篤な障害が残る災害
※2:危険感受性=危険を危険と感じ取れること
危険敢行性=危険だと感じていても敢えて受け入れた行動をとること※3:環境及び安全衛生資材審査システム(EMIS=Ecology, Safety and Health Material Investigation System)


健康
基本的な考え方
当社は、「『健康経営』※4に基づく、心身の健康を自ら考え実践できる人・職場づくり」を中期的な課題として、生活習慣病予防とメンタルヘルス支援活動を中心に従業員の健康づくり活動を推進しています。2024年度を「健康な人・職場づくり元年」として、従業員一人ひとりが、いきいきと第一線で働けるよう、自身の健康と向き合い自らの意思と意欲で行動できる自立した健康文化の醸成に向けてサポートを行っています。
※4:健康経営はNPO法人健康経営研究会の登録商標
健康経営理念の策定
当社は基本的な考え方のもと、「豊田自動織機グループ 健康宣言」を策定しました。社員とその家族の健康が会社を活性化させ、当社の持続的成長につながると考え、全社で健康経営の基盤づくりに注力していきます。
豊田自動織機グループ健康宣言
当社は、かけがえのない社員一人ひとりとその家族が心身ともに健康で充実した人生を送ってほしいと願っています。
社員とその家族の健康は、会社を活性化させ、当社の持続的成長にも繋がると考えます。
お客様のニーズを先取りする商品・サービスを継続的に提供することにより世界の産業・社会基盤を支え、住みよい地球と豊かな生活、そして温かい社会づくりに貢献するため、社是の精神のもと、全員が心身ともに健康で笑顔で活躍できる会社づくりに努めることを宣言します。
2024年4月
株式会社豊田自動織機
取締役社長 伊藤 浩一
豊田自動織機グループ健康宣言 PDF[981.0KB/1ページ]
健康づくり推進体制
当社では、健康づくり活動を強化するために、安全健康推進部と健康保険組合が事務局となり、「健康づくり推進分科会」を設置しています。本分科会には関連部門と労働組合が参加し、従業員の健康づくりに関する制度・施策について議論を重ねました。今後も継続的に議論を深め、従業員のウェルビーイング・健康増進に向けた支援を続けていきます。

健康経営戦略マップ
健康経営戦略マップを作成し、健康経営で解決したい経営課題を「従業員のウェルビーイング実現」と「個・組織の最大パフォーマンス発揮」とし、最終的な目標指標を「プレゼンティーイズムの低減」・「アブセンティーイズムの低減」・「ワークエンゲージメントの向上」として活動しています。
生活習慣病対策としての「健康チャレンジ8」※5を重点取組み事項として、戦略的に従業員の意識・行動変容につながる施策を実行・評価をしていきます。
※5:8つの生活習慣(①適正体重 ②朝食 ③間食 ④睡眠 ⑤運動 ⑥飲酒 ⑦禁煙 ⑧ストレス)
健康経営戦略マップ

健康関連の目標指標
従業員のウェルビーイング度をメインKPIとして設定し、2030年の⽬標達成に向けて、健康チャレンジ8を中心に健康促進活動を推進していきます。主要なKPIは、ウェルビーイングが「心と体の健康だけでなく、社会的にも健康であること」と定義される点を踏まえ、生活習慣・メンタルヘルス・コミュニケーションの調和が取れた人材の育成をねらいとして設定し、「健康のKPI」に記載しています。
評価項目 | 実績値(年度) | 目標値(年度) | |||
---|---|---|---|---|---|
2023 | 2024 | 2025 | 2030 | ||
メインKPI | ウェルビーイング度※6 | 12.2 | 12.4 | 13.0 | 16.0以上 |
サブKPI | プレゼンティーイズム※7 | 17.3% | 18.0% | 16.0% | 10.0%以下 |
アブセンティーイズム※8 | 1.16% | 1.09% | 1.00% | 0.70%以下 | |
ワークエンゲージメント※9 | 3.00 | 2.98 | 3.10 | 3.50以上 | |
活動KPI | 健康チャレンジ8※10 | 5.67 | 5.37 | 5.85 | 6.50以上 |
ヘルスリテラシー※11 | - | 17.9 | 19.0 | 20.0以上 |
本データは、有効回答の得られた正従業員データ
※6:WHO-5 Well-being Index。最大25点(正従業員14,272名の平均値、回答率98.2%)
※7:東大1問式による労働損失割合。(正従業員12,900名の平均値、回答率88.7%)
※8:4日以上連続して私傷病で休務した者の割合 。(対象者数:正従業員14,705名)
※9:ユトレヒトワークエンゲージメント尺度(UWES)。
最大6点(正従業員14,257名の平均値、回答率98.1%)※10:8つの生活習慣の実践数。最大8点(正従業員14,180名の平均値、回答率97.5%)
※11:Communicative and Critical Health Literacy(CCHL)尺度を用いた測定値
(正従業員14,266名の平均値、回答率98.1%)
健康づくり活動の周知

当社オリジナルの健康経営推進キャラクターを作成し、公募で名前を決定することで、従業員に健康づくりをより身近に感じてもらえるよう取り組んでいます。さらに、定期的な健康イベントを開催し、家族や取引先等、社外の方を巻き込んだ健康づくり活動の周知・認知を促進していきます。


重点施策
健康チャレンジ8

日常的な生活習慣を8項⽬でスコア化し、その適正化を促進するため、「健康チャレンジ8」活動を2021年度より継続して推進しています。従業員のヘルスリテラシー※12向上と行動変容を促すため、全社安全衛生一斉ミーティングにおいて健康教育と「私の健康チャレンジ宣言!」を実施しました。工場安全衛生委員会での産業医講話では、各工場・部門ごとのデータ傾向を開示するとともに、実践率の低い項⽬についての改善アドバイスを実施し、職場での健康づくり活動を推進しています。
認知を高める活動を推進する一方、運動習慣を実践している従業員が他の生活習慣項⽬に比べ低い状況が続いているため、健康保険組合・労働組合と協力し、さらなる実践率の向上を⽬指し取り組みを進めていきます。
※12:健康情報を入手し、理解し、活用するための知識、意欲、能力
節目健康教室

会社、健康保険組合、労働組合の三者協働事業として、全従業員を対象に年代別健康教育「節⽬健康教室」を開催しています。2024年度からは、年代や職種(技能職・事技職)ごとの異なる健康課題に対応したプログラムに変更しました。健康チャレンジ8の中で最も実践率が低い「運動」に注力し、年代別の体力測定結果をもとに、自身の体力の傾向と対策・推奨する体力増進運動についてアドバイスし、運動実践率の向上を⽬指しています。
運動以外にも、健康チャレンジ8の項⽬及び歯科検診を追加し、生活習慣全般の健康教育を実施しています。行動変容の維持・改善に向けて、ウェルビーイングを実現するための「人生の健康⽬標」設定や、生活習慣改善に向けた具体的な⽬標・行動を「みえる化」しています。教室後のアンケート結果では「健康づくりに役立つ」と87.5%が回答しており、継続フォローにより従業員のヘルスリテラシー向上にも寄与しています。
メンタルヘルス支援
メンタルヘルス支援活動においては、健康相談窓口を設置し、従業員が健康に関する悩みを気軽に相談できる体制を整えています。これにより、メールや電話等を通じて、幅広く相談を受けることができる環境を提供しています。
2019年からは、直属上司によるラインケアの強化に注力した結果、職場と健康推進部門との連携が一層強化され、軽症段階での早期発見につながる事例が増加しています。今後は、新規発症の未然防止活動に重点を置き、さらなる教育の充実をはかる予定です。
また、年に1回ストレスチェックを実施し、本人と職場に対し、改善策を添えて結果をフィードバックしています。個人への支援としては、社内独自で判定した高ストレス者に対し個別に受診勧奨をし、希望者への医師による面談を実施しています。また職場への支援としては、必要な職場に対して職場への改善支援を行っています。

海外勤務者への健康支援
海外勤務者は常時160~170名おり、国内同様の健康支援体制を、現在整備しています。一例としては、赴任後の産業医面談や、定期的な健康管理問診での体調確認、拠点ごとの健康教育があります。海外勤務は新しい文化や環境に適応しながらの生活となるため、心身の健康管理に対する一層の配慮が必要であると認識し、さらなる支援体制の強化をはかっています。
企業スポーツの取り組み
従業員の一体感醸成、また地域社会への貢献と共生を目的に、スポーツ活動を推進しています。特に、ラグビー、女子ソフトボール、女子陸上競技に力を入れており、日本国内でトップクラスの活躍をする選手が多く在籍しています。