コーポレート・ガバナンス

当社は、基本理念のもと、誠実に社会的責任を果たすことで社会の信頼を獲得し、長期安定的な企業価値の向上をめざしています。そのために、コーポレート・ガバナンスを一層充実させ、経営の効率性と公正性・透明性の維持・向上をはかっていきます。

ガバナンス体制

コーポレート・ガバナンスに対する基本的な考え方

当社は、「基本理念」に基づき、誠実に社会的責任を果たすことで、社会から広く信頼を得て、長期安定的に企業価値を向上させることを経営の最重要課題としています。事業活動を通じて豊かな社会づくりに貢献することを基本に、株主やお客様、取引先、債権者、地域社会、従業員などのステークホルダーとの良好な関係を築くことが重要と考えています。

こうした考えのもと、経営の効率性と公正性・透明性を維持・向上するため、経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる体制を構築するとともに、経営の監督機能強化や情報の適時開示などに取り組み、コーポレート・ガバナンスの充実をはかっています。

具体的には、以下の項目を基本方針として取り組みを進めています。

  1. 株主の権利・平等性の確保に努めます。
  2. 株主以外のステークホルダー(お客様、取引先、債権者、地域社会、従業員など)との適切な協働に努めます。
  3. 適切な情報開示と透明性の確保に努めます。
  4. 透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うため、取締役会の役割・責務の適切な遂行に努めます。
  5. 株主との建設的な対話に努めます。

推進体制

当社は取締役会を毎月開催することで、経営に関わる重要事項の決定および取締役の職務執行の監督を行っています。
社外取締役につきましては、会社経営などにおける豊富な経験や高い識見を有する方を選任しています。
取締役会において、グローバル展開する企業経営やモノづくりに関する幅広い分野など、各々の経験や知見をもとに適宜意見・質問をいただくなど、社外取締役の監督機能を通して、客観的視点からも、取締役会の意思決定および取締役の職務執行の適法性・妥当性を確保しています。
一方で、ビジョン、経営方針、中期経営戦略、大型投資などの経営課題や各事業部門における重要案件については、取締役会での審議に先立ち、社長、チーフオフィサー、監査役および議案に関わる経営役員などで構成する「マネジメント・コミッティ」で、さまざまな対応を協議しています。

「業務執行会議」では、社長、チーフオフィサー、経営役員などをメンバーとして、月々の業務執行状況の報告・確認、事業・機能課題等の協議を行っています。

また、品質、生産、人事等の各機能において課題を審議する機能会議や、コンプライアンス、リスク管理、サステナビリティ、環境、安全衛生、輸出取引管理などの特定事項を審議する委員会を設置し、それぞれの分野における重要事項やテーマについても協議しています。なお、法規認証問題を踏まえ、再出発委員会を設置し、再発防止の取り組みを推進しています。
さらに、内部監査室を設置し、当社各部門および子会社への監査を通じて、内部統制の維持・向上をはかっています。

コーポレート・ガバナンス体制

経営陣幹部の選解任、取締役・監査役候補の指名

■経営陣幹部選任(解任を含む)、取締役・監査役候補指名に関する方針と手続き

取締役においては、経営全般における的確かつ迅速な意思決定、適切なリスク管理、および業務執行の監視のできる候補者を、監査役においては、財務・会計・法務に関する知見、当社事業分野に関する知識、および企業経営に関する多様な視点のバランスを確保しながら、適材適所の観点より候補者を指名しています。経営陣幹部においては、業務執行において、会社の各機能と各事業部門をカバーできるバランスを考慮しながら、適材適所の観点より選任しています。

また、職責を十分に果たすことができない事由が生じた場合には、解任を検討します。

これらの方針に基づき、原案を検討し、取締役社長および独立社外取締役を委員とし、委員長と委員の過半数を独立社外取締役とする「役員人事・報酬委員会」において、意見の交換および内容の確認を行った上で、取締役会に上程し、決議しています。

■取締役・監査役の経験・専門性マトリクス

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独立役員の指定

当社は、上場会社として、経営の公正性・透明性の確保に努めています。東京、名古屋の各証券取引所による有価証券上場規程に基づき、株主の皆様と利益相反の生じるおそれがないと判断した社外取締役3名および社外監査役2名を独立役員として指定し、コーポレート・ガバナンスの一層の充実をはかっています。

取締役および監査役の報酬決定

■取締役の個人別の報酬などの内容に係る決定方針に関する事項

●基本的な考え方
・公正性、透明性を確保しています。
・業績向上や持続的成長へのインセンティブを重視し、会社業績との連動性を確保し、職責と成果を反映しています。
●報酬の体系
・取締役の報酬は、基本報酬としての固定報酬、業績連動報酬としての賞与と譲渡制限付株式報酬で構成しています。
・但し、社外取締役等の業務執行を伴わない取締役は、業務執行から独立した立場であることから、固定報酬のみとしています。
●個人別の報酬の決定方法
・取締役社長、独立社外取締役より構成する「役員人事・報酬委員会」を設置しています。
・その客観性及び透明性を確保するため、委員長と委員の過半数を独立社外取締役としています。
・「役員人事・報酬委員会」は、本方針、取締役の個人別報酬案、その他報酬に関する重要事項について審議しています。
・取締役会は、「役員人事・報酬委員会」の審議結果を踏まえ、本方針を決議しています。
・取締役会は、個人別報酬額の決定を、柔軟かつ機動的に行う観点から、取締役社長へ委任しています。
・取締役社長は、「役員人事・報酬委員会」の審議結果を踏まえ、本方針に従って、取締役の個人別の報酬額を決定しています。
●報酬の構成割合
・社外取締役等の業務執行を伴わない取締役を除く取締役の固定報酬と業績連動報酬(賞与及び譲渡制限付株式報酬)との比率は40:60を目安(取締役会長・取締役社長の場合)としています。但し、当該連結営業利益額等の状況に応じて、上記と異なる比率とすることを妨げないものとしています。
・業績連動報酬のうち、賞与と譲渡制限付株式報酬との比率は、70:30を目安としています。
●固定報酬、賞与(以上、現金報酬)、及び譲渡制限付株式報酬の決定方針
<現金報酬>
固定報酬と賞与を合わせた取締役の現金報酬の限度額は、年額7億円以内(うち社外取締役分1.5億円以内)〈第146回定時株主総会決議〉とされています。
【固定報酬】
・取締役の固定報酬は月額報酬とし、在任中、定期的に支給しています。
・ 個人別の報酬額は、他社水準を参考としながら、取締役の役位とその職責を勘案し、妥当な水準を設定しています。
【賞与】
・賞与は、各事業年度において当該定時株主総会の終了後、一定の時期に支給しています。
・賞与は、連結営業利益を指標とし、前事業年度の連結営業利益額に応じ役位毎に算定する業績連動報酬の合計額の70%を目安としています。但し、当該取締役に譲渡制限付株式報酬を付与することが相当でない事由がある場合には、業績連動報酬の合計額の100%としています。
・業績連動報酬の合計額の決定にあたっては、配当、従業員賞与水準、他社水準、過去の支給実績、職責と担当業務の遂行状況等も総合的に勘案しています。

<譲渡制限付株式報酬>
・ 譲渡制限付株式報酬は、各事業年度において当該定時株主総会の終了後、一定の時期に付与することとしています。
但し、当該取締役に譲渡制限付株式報酬を付与することが相当でない事由がある場合には、当該取締役の業績連動報酬の全額を賞与として支給するものとし、譲渡制限付株式報酬は付与しないものとしています。
・ 譲渡制限付株式報酬の付与のために支給する報酬は金銭債権とし、その総額は、取締役の固定報酬、及び賞与とは別枠で年額2億円以内、割り当てる株式の種類は普通株式(割当契約において譲渡制限を付したもの)を発行または処分、その総数は合計で年6万株以内(但し、当社の発行済株式総数が、株式の併合または分割(株式無償割当てを含む)によって増減した場合は、当該上限数はその比率に応じて調整される)〈第146回定時株主総会決議〉とされています。
・ 譲渡制限付株式報酬は、連結営業利益を指標とし、前事業年度の連結営業利益額に応じ役位毎に算定する業績連動報酬の合計額の30%を目安としています。
・ 譲渡制限付株式報酬の付与については、以下の内容を含む割当契約書の締結を条件とするものとしています。
 ― 割当株式には割当日より3年から30年の間で取締役会が予め定める期間、譲渡制限を課し、当該期間の満了をもって制限を解除するものとしています。但し、任期満了、死亡、その他正当な理由により退任した場合、譲渡制限を解除するものとしています。
 ― 譲渡制限期間中に法令違反その他当社取締役会が定める事由に該当する場合、割当株式のすべてまたは一部を当社が無償取得することができるものとしています。

■監査役の報酬などについて

監査役の報酬などは、固定報酬のみとしており、当社の定める一定の基準に従い、監査役の協議により決定しています。

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資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

当社は、中長期的な企業価値向上に向け、市場ニーズを先取りし、社会のお役に立つ商品・サービスの提供に取り組むとともに、資本コストを意識した経営に注力しております。
具体的には、自己資本利益率(ROE)の目線として、2026年~27年頃にROE6%の達成、また中長期的には更なる向上をめざし、収益性の改善、政策保有株式を含めた保有株式圧縮による自己資本の圧縮、基盤投資に加え、成長に向けたR&D、M&Aへの積極投資、配当及び、機動的な自己株式取得等の株主還元、市場との対話を柱として、企業価値向上に取り組んでいきます。 詳しくは以下をご参照ください。

2025年3月期決算プレゼンテーション

2025年3月期第2四半期決算プレゼンテーション

2024年3月期決算プレゼンテーション

取締役会の実効性およびその評価

当社では、取締役会の実効性に関し、社外取締役や社外監査役を中心にアンケートやインタビューを実施し、加えて、その実効性向上に向けた議論を行っております。それらの結果は以下の通りです。

■評価

1)取締役会は、率直に意見を述べやすい雰囲気があり、建設的な議論や意見交換が活発に行われ、また取締役会として必要にして十分な体制や機能が備わっていると評価している。
2)加えて、取締役会とは別に、事業部門の執行者を交えてざっくばらんに議論する場があり、また豊富な情報に触れることができている。経営の方向性について議論を行うにあたり、貴重な機会となっている。

■さらなる実効性向上に向けた意見
1)業務執行に関する報告などにおいて、現場や実務の課題をより把握しやすくなるような一層の工夫があるとよい。
2)中長期計画を検討する初期段階において、事業部門の執行責任者と成長戦略について深堀して議論を行う機会がより増えるとよい。
このように、取締役会の実効性は担保されているとの評価を受けた一方、引き続き、さらなる実効性向上に向けて取り組んでまいります。

監査役・監査役会

当社における監査役は4名であり、常勤監査役2名と社外監査役2名で構成しています。

各監査役は取締役会に出席して適宜意見を述べるとともに、常勤監査役はその他重要な会議への出席、取締役などからの職務の執行状況についての報告、さらには本社、主要な事業所および子会社への往査などを通じて経営状況の監視、助言に努め、内部統制の維持・向上に寄与しています。
また、会計監査人や内部監査部門とも適切に連携しています。

毎月開催する監査役会では、常勤監査役による監査実施状況などの情報を社外監査役と共有するとともに、取締役などから重要な事業の状況の報告、また、会計監査人から監査上の主要な検討事項の内容および決定理由などの報告を受けています。

また、監査の方針および監査計画、会計監査人の監査の方法および結果の相当性などの重要事項を協議・決定しています。

コーポレート・ガバナンス強化の取り組み
  • 1971年 事業部制の導入
  • 2006年 取締役数のスリム化(30名→17名)
    執行役員制度導入
  • 2010年 独立役員の指定
  • 2016年 「役員人事委員会」「役員報酬委員会」を設置
    取締役数のスリム化(17名→11名)
  • 2017年 取締役会の実効性評価の実施
  • 2019年 役員制度を改定し、役員数と階層を削減
  • 2022年 取締役会構成の見直し(独立社外取締役が3分の1以上)
  • 2023年 「役員人事委員会」「役員報酬委員会」を「役員人事・報酬委員会」に改組し、その委員長を独立社外取締役へ変更
  • 2024年 チーフオフィサー(CxO)の設置
    女性取締役の就任

政策保有株式

政策保有に関する方針

当社は、政策保有株式について、その保有の合理性が認められる場合を除き、保有しないことを基本方針としています。
一方、持続的な企業価値の向上をはかるため、事業戦略上の重要性、取引先との事業上の関係維持・強化などの連携が不可欠だと考えており、事業戦略上必要な株式は保有します。

保有の適否検証

毎年、政策保有株式について、保有のねらいおよび保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかなどを取締役会で検証しています。具体的には、毎年、主管部署への保有意義調査から保有意義の低い銘柄を選定し、売却可否を検討するとともに、発行体の収益性の指標や資本コストと比べた投資リターンといった定量的情報に基づく検証を実施しています。この検証の結果、当社の基準を下回った銘柄については、保有意義を再検証し、売却の方向で検討しています。
2025年3月期は、6銘柄の売却を実施しました。

議決権の行使

■基本的な考え方

投資先の経営方針を尊重した上で、中長期的な企業価値向上や、株主還元姿勢、コーポレート・ガバナンスおよび社会的責任の観点から、議決権行使基準に基づき、必要に応じて投資先と対話を行い、総合的に賛否を判断します。

■判断を行う主な議案

1)授権資本の拡大
2)買収防衛策
3)事業再編等
4)株主還元
5)役員選任・解任

内部統制

内部統制評価のしくみ(J-SOX)

内部統制評価のしくみ(J-SOX)

当社は会社法に基づき、2006年5月に「内部統制の整備に関する基本方針」(以下、「基本方針」)を取締役会で決議し、各部門の年度方針や日常管理に織り込んだ上で、コンプライアンス、リスク管理、業務の有効性・効率性の徹底に取り組んできました。しかし、エンジン国内認証問題の発生を受け、原点に立ち返り、二度とこうした問題を起こさない会社として再出発すべく、再発防止に向けた取り組みを進めるとともに、基本方針も見直すこととし、2024年4月に取締役会で決議しました。

当社は再び過ちを起こさないために、間違いがあれば気づき、立ち止まり、全社員で改善できる風土を醸成します。また、リスクに適切に対応し最適な経営資源配分を行うための組織・体制を構築し、実際の業務執行の場においては、誠実を貫き正しいモノづくりを行うため、そのプロセスの中に牽制構造も含む問題発見と改善のしくみを組み込むとともに、それを実践する人材の育成に努めていきます。

そして、毎事業年度末に運用状況の評価を行い、必要に応じてしくみの見直し、日常管理の徹底など、次年度に向けた取り組みを確認します。

さらに当社は、金融商品取引法(J-SOX法)に基づき、財務報告の信頼性確保に向けた内部統制システムを構築し、その整備・運用状況については、内部監査部門が実効性を評価し監査法人による監査を受けています。その対象会社は、豊田自動織機グループから、財務報告の信頼性におよぼす影響の重要性を考慮して決定しています。2025年3月期現在の当社グループの財務報告に係る内部統制は有効であると判断し、内部統制報告書を2025年6月に提出しました。なお当社の内部統制報告書については、監査法人から適正である旨の監査報告が提出されています。当社では、内部統制の一環として、倫理に基づく適正な業務運営を確保するための監査体制を整備しています。内部監査部門を中心に、自主点検(自主監査)、業務監査、テーマ監査、ならびにJ-SOX監査を通じて、全社的なリスクの管理やコンプライアンスの強化をはかり、3年~5年といった定期的なスケジュールに基づいて計画的に監査を実施しています。監査の対象は、社内全部門及び、国内外主要子会社に行っており、これによりリスクの早期発見や、予防につとめています。

コンプライアンス

基本的な考え方

当社は、コンプライアンスを法規など定められたものだけでなく、倫理や社会常識を守ることも含むものとし、経営トップのリーダーシップのもと、豊田自動織機グループ全体でコンプライアンスを推進していくことが重要と考えています。

その活動の一環として、2024年7月に「コンプライアンス委員会」を設置しました。コンプライアンス委員会は、連結グループ全体のコンプライアンスプログラムを統括することで、グローバルで効果的かつ持続的に運用することを目的として、グローバル チーフ コンプライアンス オフィサー(GCCO)を委員長とし、会長・社長を含む経営幹部レベルのリーダーで構成されています。

この他にも、主たる取り組みとして、2023年3月に日本で公表したエンジン国内認証問題に対する再発防止策を踏まえ、従業員が誠実にビジネスを行うことを保証するために、グローバルでコンプライアンスプログラムの変革を進めています。具体的には、当社グループ全体に適用するコンプライアンスに関する規程類の策定・実施、コンプライアンス研修の実施、新法や法改正の動向や他社事例等の情報収集、コンプライアンスリスクの特定・評価等、適時適切な対応を行っています。また、従業員が疑問や懸念を安心して示せる風土づくりを行うとともに、調査が必要な事案においては迅速かつ適切に調査及び対策を実施しています。認証法規や贈収賄・腐敗防止法、独占禁止法違反を含め、当社グループの重大な問題が速やかにGCCO及びコンプライアンス委員会を通じて取締役会へ報告される体制を整えています。

当社グループの重大コンプライアンス違反件数

グローバルコンプライアンス推進体制の整備

当社のグローバルなコンプライアンス推進は、コンプライアンス体制変革の一環として設立したリスク統括部が担い、コンプライアンスプログラムの実行・モニタリング・維持向上を行っています。国内では、社内の各事業部及び国内の各子会社に、リスク統括部の指示に従ってコンプライアンス意識の向上とコンプライアンス活動の実行支援を担うコンプライアンス推進者を任命しました。加えて、トヨタL&Fカンパニー、エンジン事業部、コンプレッサー事業部については、リスク統括部にコンプライアンス責任者を配置し、エンジン国内認証問題とリスクプロファイルを踏まえて、各事業部本体及びそれぞれが所管する国内子会社のコンプライアンス活動を指導・支援しています。

海外では、2024年5月に、当社グループの北米地域を統括する子会社において、また2025年8月に欧州地域を統括する子会社において、統括地域内のコンプライアンスプログラムを推進・管理・監督する地域チーフコンプライアンスオフィサー(RCCO)を任命しました。また2025年2月、中国において、各子会社にコンプライアンス推進者を任命し、同年7月に中国国内の子会社のコンプライアンス活動を管理するコンプライアンス責任者を任命しました。その他の地域でも、それぞれが抱えるリスクに応じてコンプライアンス責任者・推進者を任命していきます。

グローバルコンプライアンス推進体制図
主要地域・国のコンプライアンス責任者

役員の責務

経営役員規則及び執行職規則の禁止事項に、コンプライアンスに関する内容を追記するとともに、違反した場合の報酬への影響についても明記し、法規制や会社の方針に反する事業活動の防止・発見・対処を促しています。

コンプライアンス宣言及びグループ行動規範の策定、研修・意識啓発の強化

コンプライアンス宣言

2024年7月に「正しい業務を正しく行う」ことを示した豊田自動織機グループの「コンプライアンス宣言」を策定しました。また、従来の「豊田自動織機 社員行動規範」を改定し、当社及び連結子会社の役員・社員等に適用される倫理的行動とコンプライアンスに関する行動の規範として「豊田自動織機グループ行動規範」を策定しました。当社及び米国子会社では役員及び全従業員にグループ行動規範を配付し、2024年11月から2025年1月にかけて研修を行いました。今後も年1回の啓発を継続していきます。その他の連結子会社においても、2025年度から、展開・教育を進めていきます。

上記に加えて、エンジン国内認証問題に関する特別調査委員会の調査報告書にて「管理職が問題を報告・相談されたが問題解決に向けた行動を起こさなかった」との指摘を受けたことや反省を踏まえて、2024年2月には管理者コンプライアンス研修を新たに開設し、管理者層に対して、コンプライアンス意識啓発、相談しやすい職場づくり、通報者の不利益な取り扱い禁止、コンプライアンスに関する相談を受けた場合の対応に関する実践的な研修を継続的に実施しています。

その他、当社及び国内連結子会社の従業員のコンプライアンスに対する理解を一層深めるため、eラーニング教材を49テーマ、コンプライアンスミニテストを48テーマ作成・配信し、自主的に学べる環境を整備しています。

また、通年でトップマネジメントから繰り返し、コンプライアンスそのものやコンプライアンス違反の通報・相談の重要性、通報者の不利益な取り扱い禁止について発信しています。さらに、コンプライアンス意識の啓発のためGCCOの思いを、社内向けにコラム「コンプライアンスの窓」として配信しています。

■当社、国内連結子会社および海外連結子会社における行動規範教育・啓発の実施率: 100%

豊田自動織機 行動規範
社員一人ひとりに配付されているカード。
行動規範へのQRコードや内部通報窓口の連絡先などの情報を掲載。

コンプライアンス提案窓口

2025年2月に社内からコンプライアンスに関する改善・気づき・アイデアを募集する「コンプライアンス提案窓口」を開設しました。コンプライアンス意識の啓発及び積極的な提案の促進のために、実際に改善へ結びついた優れた提案に対する表彰も予定しています。

安全保障貿易管理の取り組み

海外の輸出では、全社のルールに則り、輸出毎に輸出規制品目への該当の有無、及び輸出先における武器関連の用途の有無を審査するしくみを構築しています。
また、毎年実施する教育における従業員への周知及び監査を通じた運営状況の確認により、当該法令の遵守を徹底しています。
なお、これらは国内外のグループ各社へ展開し、グローバルに対応しています。

贈収賄防止の取り組み

贈収賄についてはこれを禁止・防止するため「贈収賄防止グローバルガイドライン」(腐敗指数の高い国では当該国の法律に準拠した国別の規程)を策定しています。

また、当社グループの方針を社内外に向けてより明確にするため、2023年3月には、「豊田自動織機グループ贈収賄防止方針」をグローバルガイドラインの上位方針として策定し、各国・地域で周知啓発に取り組んでいます。

新しいウインドウで PDF を開きます 豊田自動織機グループ 贈収賄防止方針 PDF[83.7KB/1ページ]

独占禁止法遵守の取り組み

独占禁止法については、当社の従業員が競合他社と接触する場合の事前・事後の確認・審査を制度化し、独占禁止法への抵触が疑われるような行為をしないよう周知しています。さらに2015年度からは、独占禁止法遵守月間を設け、競合他社との関係や取引先との適正取引(各種コスト上昇による環境変化にも取引先と真摯に対話する必要性など)について関係部門に対する独占禁止法遵守の啓発を行っています。

また、国内外の連結子会社においては、各国・地域の法令などに応じて、カルテルなどの独占禁止法の違反を防止するための教育・啓発に取り組んでいます。

内部通報制度による問題の早期発見・未然防止

当社グループでは、従業員や取引先等がコンプライアンスに関して、いつでも匿名で通報・相談できるよう、内部通報窓口(ヘルプライン)や取引先通報・相談窓口等を地域ごとに設け、弁護士事務所や社外の専用ウェブサイト等を通じて通報・相談を受け付けています。2024年度は、当社及び国内外の連結子会社において、586件の通報・相談が寄せられ、そのうち64%が労務管理や職場環境に関する内容でした。受け付けた案件については、社内規程に基づき、内部通報担当部署等が、すべての通報・相談内容を秘密として取り扱い、事実関係を適切に調査し対応しています。また、通報・相談を理由とした不利益な扱いは禁止しています。

今後も、内部通報制度の周知と改善を継続し、従業員等が声を上げやすい環境を整えることで、問題の早期発見と未然防止に努め、「社会からより信頼される企業づくり」を目指していきます。

内部通報窓口相談件数

コンプライアンス意識調査

従来は3年に一度実施していたコンプライアンス意識調査について、2025年度以降はコンプライアンスプログラムの有効性の調査及びプログラムの改善を行うために毎年実施する予定です。

税務ガバナンス

基本的な考え方

当社グループ は、「基本理念」に基づき、誠実に社会的責任を果たすことで、社会から広く信頼を得て、長期安定的に企業価値を向上させることを経営の最重要課題としています。
事業活動を行う各国・地域の税務関連法令等を遵守し適正な納税を行うことにより、社会への貢献と企業価値の維持及び向上に努めます。

税務基本方針

当社は上記基本的な考え方の下、「豊田自動織機グループ税務基本方針」を策定しました。

豊田自動織機グループ行動規範に基づき適正な納税・税務対応を行うことを目的として、会計・税務に関する研修やeラーニングなどを通じて従業員に対する教育・啓蒙活動を必要に応じて行っていきます。

新しいウインドウで PDF を開きます 豊田自動織機グループ 税務基本方針 PDF[469.1KB/1ページ]

リスクマネジメント

基本的な考え方

当社は、会社法に基づく「内部統制の整備に関する基本方針」に沿って、リスク管理に関する規程や体制の整備を行っています。リスク管理については、次の項目を基本として取り組んでいます。

  1. リスクの未然防止や低減への取り組みを日々の業務の中に織り込み、その実施状況をフォローすること。
  2. リスクが顕在化した場合には、迅速かつ的確な緊急対応により、事業や社会への影響を最小化するための適切な行動を徹底していくこと。

推進体制

当社は毎年、品質、安全、環境、人事労務、輸出取引、災害、情報セキュリティなどにおけるリスクの未然防止や低減への取り組みを、各事業部および本社各部門の活動方針に織り込み、推進しています。その実施状況については、機能別の会議体で評価・フォローしています。従来、CSR委員会で全社のリスク管理に取り組んできましたが、リスク管理の取り組みをさらに強化するため、2024年4月1日付で新たに「リスク管理委員会」を設置し、リスク統括責任者(リスク統括担当役員)を委員長として運営しています。

リスク管理委員会で、全社に関わるリスクから特に重点となるもの(重点リスク)を洗い出し、各機能会議体での対策や、複数の機能にわたる新たなリスクへの対策につなげる活動を推進しています。

こうした重点リスクへの対応を含め、各事業部および連結子会社のリスク管理レベルの向上を支援するため、本社の安全、品質、環境などの各機能部門は、連結子会社を含むグループ全体的な視点で規則やマニュアルを制定し、業務監査や現場点検などで確認・フォローを行っています。

当社では、「リスク対応マニュアル」を整備し、平時のリスク管理活動の他、リスクが顕在化した有事の際の初動として、経営トップへ迅速に報告し、社会や事業活動への影響の大きさを見極め、適切な対応で被害を最小化するための基本ルールを定めています。内容については、事業や取り巻く環境の変化を考慮して都度確認し、必要に応じて改訂しています。

リスクマップ
リスクマネジメント体制(情報セキュリティ推進体制を含む)

情報セキュリティ

基本的な考え方

当社は、「基本理念」及び「サステナビリティ方針」に基づき、「お客様・従業員・取引先等の個人情報及び技術・営業・設備・商品に関わる情報は守るべき資産である」という認識に立ち情報資産の保護とその管理強化を推進することを目的として、情報セキュリティ基本方針を定めています。

情報セキュリティ基本方針

  1. 法令遵守
    情報セキュリティに関連する法令等を周知、遵守する。
  2. 安定した基盤の維持
    情報資産を適切に管理・保護し、また情報セキュリティに関する教育・啓発を継続的に行い、安定した経営基盤の維持に努める。
  3. 安全な商品・サービスの提供
    商品・サービスの開発・設計・製造等、自社の事業活動において、情報セキュリティの対策を講じることにより、お客様や社会に対し、安全な商品・サービスを提供する。
  4. 情報セキュリティマネジメント
    情報セキュリティを運用・管理するためのガバナンス体制を構築し、継続的な推進及び改善を行う。

推進体制

「リスク管理委員会」(委員長:リスク統括責任者※1)の下部組織として「情報セキュリティ会議」(議長:ITデジタル推進担当役員)を設置し、情報セキュリティリスクの低減に取り組んでいます。

情報セキュリティ会議での取り組みを徹底するため、当社の各部門で機密管理責任者※2、機密管理推進者※3を選任しています。

国内外の連結子会社へは、各地域で定期的にIT管理者会議を開催し、社内外の事例および対策情報の共有や方針の展開などにより、当社グループ全体でセキュリティレベルと意識の向上に取り組んでいます。

※1:リスク統括担当役員
※2:各部門の部門長
※3:部門長が指名した部内の推進担当者

情報セキュリティマネジメント

情報セキュリティ監視とインシデント対応

サイバー攻撃の早期検知と迅速な対応のため、当社グループのパソコンなど全端末に対する24時間365日のセキュリティ監視体制およびインシデント対応体制を構築しています。また、脅威情報については国内外の連結子会社と共有し、各社内での注意喚起を速やかに実施しています。

重大インシデントの発生件数:0件

グローバルにおけるセキュリティガバナンス強化

オールトヨタセキュリティガイドライン(ATSG)※4に基づき、当社および国内外連結子会社の情報セキュリティの取り組み状況を年1回点検することにより、情報セキュリティレベルの継続的な維持・向上に努めています。

また国内関係会社連絡会、サイバーセキュリティサミットの開催による取り組みの共有や、グループ会社への個別訪問・対策支援の活動を通じて、すべてのグループ会社におけるセキュリティレベルの均質化・高度化を推進しています。

※4:NIST CSFやISO27000シリーズに準拠したトヨタグループでのセキュリティガイドライン。

情報セキュリティ意識の啓発強化

各部門の業務に合わせたリスク管理を自律的に実施する組織づくりに向けて、その活動主体となる機密管理責任者・推進者向けに内容を拡充した教育を行っています。

外部専門家を招いた経営層向け講演会
外部専門家を招いた経営層向け講演会
2024年度の取り組み
  • 生産セキュリティ推進体制の強化
  • サイバー攻撃発生時の対応訓練
  • 外部専門家を招いた経営層向け講演会
  • 協力会社向けセキュリティセミナー
  • 海外グループ会社向けサイバーセキュリティサミット

知的財産活動

基本的な考え方

当社は、社祖 豊⽥佐吉の精神を受け継いで制定された豊⽥綱領の「研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし」に基づき、研究と創造に積極的に取り組んでいます。その成果である発明やノウハウ等の知的財産権を通じて各事業の戦略に活かしています。また、国内外で知的財産権を確実に取得し、侵害防止に努めることで、知的財産の保有を通じた企業価値の向上に取り組んでいます。

技術ロードマップに沿った知的財産活動

2030年ビジョン達成に向けて技術開発が今後ますます重要となっていく中、当社は、技術開発部門が策定する技術ロードマップに照らし、どのような知的財産が事業において必要かを検討することに加え、競合の事業戦略等も見ながら、競争優位なポジションを築くための戦略を構築しています。

当社の事業領域は、IoT、AI、自動運転及びカーボンニュートラル等、新しい技術分野へと広がっており、そのような新しい技術にもしっかりとアンテナを立て、従来の知的財産権に加え、ノウハウ・ソフトウェアを含む知財・無形資産の積極的な創出により、競争⼒を⾼めています。当社は、IPランドスケープを専門とするグループを立ち上げ、業界の動向や将来性を探索し、開発のスピードアップに資する知的財産情報をタイムリーに展開し、当社が今後も社会に貢献していくよう、事業のサポートに取り組んでいます。

特許資産価値の可視化

当社は、保有特許の客観的な評価指標として、米レクシスネクシス社のLexisNexis® PatentSight+を活用し、特許資産の価値を分析しています。当社は、「自動化・省人化」、「カーボンニュートラル」、「安全・快適」をキーワードとする産業車両部門の技術ロードマップに基づき、保有すべき技術について、当社の関係会社や競合他社の拠点がある⽇米欧の重要市場を中心に重点特許網を構築し、特許の量と質で、競合他社より優位性を保っています。

知財・無形資産ガバナンスガイドライン
当社保有特許のポジショニングマップ(産業車両分野)
当社保有特許のポジショニングマップ(産業車両分野)