コーポレート・ガバナンス

当社は、基本理念のもと、誠実に社会的責任を果たすことで社会の信頼を獲得し、長期安定的な企業価値の向上をめざしています。そのために、コーポレート・ガバナンスを一層充実させ、経営の効率性と公正性・透明性の維持・向上をはかっていきます。

ガバナンス体制

コーポレート・ガバナンスに対する基本的な考え方

当社は、「基本理念」に基づき、誠実に社会的責任を果たすことで、社会から広く信頼を得て、長期安定的に企業価値を向上させることを経営の最重要課題としています。事業活動を通じて豊かな社会づくりに貢献することを基本に、株主やお客様、取引先、債権者、地域社会、従業員などのステークホルダーとの良好な関係を築くことが重要と考えています。

こうした考えのもと、経営の効率性と公正性・透明性を維持・向上するため、経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる体制を構築するとともに、経営の監督機能強化や情報の適時開示などに取り組み、コーポレート・ガバナンスの充実をはかっています。

具体的には、以下の項目を基本方針として取り組みを進めています。

  1. 株主の権利・平等性の確保に努めます。
  2. 株主以外のステークホルダー(お客様、取引先、債権者、地域社会、従業員など)との適切な協働に努めます。
  3. 適切な情報開示と透明性の確保に努めます。
  4. 透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うため、取締役会の役割・責務の適切な遂行に努めます。
  5. 株主との建設的な対話に努めます。

推進体制

当社は取締役会を毎月開催することで、経営に関わる重要事項の決定および取締役の職務執行の監督を行っています。
社外取締役につきましては、会社経営などにおける豊富な経験や高い識見を有する方を選任しています。
取締役会において、グローバル展開する企業経営やモノづくりに関する幅広い分野など、各々の経験や知見をもとに適宜意見・質問をいただくなど、社外取締役の監督機能を通して、客観的視点からも、取締役会の意思決定および取締役の職務執行の適法性・妥当性を確保しています。
一方で、ビジョン、経営方針、中期経営戦略、大型投資などの経営課題や各事業部門における重要案件については、取締役会での審議に先立ち副社長以上、チーフオフィサー、監査役および議案に関わる経営役員などで構成する「マネジメント・コミッティ」で、さまざまな対応を協議しています。

「経営会議」では、取締役、監査役、経営役員などをメンバーとして、月々の業務執行状況の報告・確認、取締役会の審議内容およびその他の経営情報の共有化をはかっています。

また、人事、品質、生産、調達、技術の各機能において課題を審議する機能会議や、CSR、環境、輸出取引管理などの特定事項を審議する委員会を設置し、それぞれの分野における重要事項やテーマについても協議しています。
さらに、内部監査部門として監査部を設置し、当社各部門および子会社への内部監査を通じて、内部統制の維持・向上をはかっています。

経営陣幹部の選解任、取締役・監査役候補の指名

■経営陣幹部選任(解任を含む)、取締役候補指名の方針と手続き

的確かつ迅速な意思決定、適切なリスク管理、業務執行の監督および会社の各機能と各事業部門をカバーできるバランスを考慮し、適材適所の観点より総合的に検討しています。
また、監査役候補指名においては、財務・会計・法務に関する知見、当社事業分野に関する知識および企業経営に関する多様な視点のバランスを確保しながら、適材適所の観点より総合的に検討しています。
これらの方針に基づき原案を検討し、取締役社長および独立社外取締役の計3名で構成する「役員人事・報酬委員会」において、意見の交換および内容の確認を行った上で、取締役会へ上程し、決議しています。

■取締役・監査役の経験・専門性マトリクス

取締役・監査役の経験・専門性マトリクス

独立役員の指定

当社は、上場会社として、経営の公正性・透明性の確保に努めています。東京、名古屋の各証券取引所による有価証券上場規程に基づき、株主の皆様と利益相反の生じるおそれがないと判断した社外取締役2名および社外監査役2名を独立役員として指定し、コーポレート・ガバナンスの一層の充実をはかっています。

取締役および監査役の報酬決定

■取締役の個人別の報酬などの内容に係る決定方針に関する事項

●基本的な考え方

・公正性、透明性を確保しています。
・業績向上や持続的成長へのインセンティブを重視し、会社業績との連動性を確保し、職責と成果を反映しています。

●報酬の体系

・取締役の報酬は、基本報酬としての固定報酬と、業績連動報酬としての賞与で構成しています。
 さらに賞与は、年度指標連動分と中期指標連動分で構成しています。
・ただし、社外取締役は業務執行から独立した立場であることから固定報酬のみとしています。

●個人別の報酬の決定方法

・取締役社長、独立社外取締役より構成する「役員人事・報酬委員会」を設置しています。
・その客観性および透明性を確保するため、委員長と委員の過半数を独立社外取締役としています。
・「役員人事・報酬委員会」は、本方針、取締役の個人別報酬案、その他報酬に関する重要事項について審議しています。
・取締役会は、「役員人事・報酬委員会」の審議結果を踏まえ、本方針を決議しています。
・取締役会は、個人別報酬額の決定を、柔軟かつ機動的に行う観点から、取締役社長(もしくは取締役会長)へ委任しています。
・取締役社長(もしくは取締役会長)は、「役員人事・報酬委員会」の審議結果を踏まえ、本方針に従って、取締役の個人別の報酬額を決定しています。
●固定報酬、賞与およびその構成割合の決定方針
<固定報酬>
・取締役の固定報酬は月額報酬とし、在任中、定期的に支給しています。
・個人別の報酬額は、他社水準を参考としながら、取締役の役位とその職責を勘案し、妥当な水準を設定しています。
<賞与>
・賞与は、各事業年度において当該定時株主総会の終了後、一定の時期に支給しています。
・年度指標連動分は、連結営業利益を指標とし、前事業年度の連結営業利益額に応じ、役位ごとに算定しています。
・中期指標連動分は、過去3事業年度の連結営業利益率などの経営指標の結果を評価し、その結果に応じ、役位ごとに算定しています。
・当該指標を選定した理由は、本方針の基本的な考え方を反映するのにふさわしい指標であると判断したためです。
・支給額の決定にあたっては、配当、従業員賞与水準、他社水準、過去の支給実績、職責と担当業務の遂行状況なども総合的に勘案しています。
<構成割合>
・社外取締役を除く、取締役の固定報酬と賞与の比率は、60:40を目安としています。
 (賞与に占める中期指標連動分の割合は概ね10%程度)
 ただし、当該連結営業利益額などの状況に応じて、上記と異なる比率とすることを妨げないものとしています。

■監査役の報酬などについて

監査役の報酬などは、固定報酬のみとしており、当社の定める一定の基準に従い、監査役の協議により決定しています。

取締役会の実効性およびその評価

当社では、社外取締役および監査役へのインタビューを通じて、取締役会の実効性に関する評価・意見を聴取しています。その概要は以下のとおりです。

■評価

1) 議題に応じ、めりはりをつけた効率的な運営が行われており、重要な事業課題に対しては、時間をかけて重点的に議論をしている。

2) 多様な経験をもつ社外役員で構成されるなか、各議題に対して積極的に意見を求めるなど、活発で建設的な議論が行われている。

3) 重要案件については複数回にわたり報告・議論をするなど、決議前に審議を尽くすことで、適切な意思決定や経営監督の実現に努めている。

■さらなる実効性向上に向けた意見
1) 経営環境が変化するなか、ESG経営など時代に即した議題をとりあげてはどうか。

2) 全社および各事業の取り組み状況について、中長期の方向性を含めて、引き続き議論を深めていけるとよい。

このように、当社取締役会の実効性は担保されているとの評価を受けた一方、さらなる向上を期待する意見も出されており、引き続き改善に取り組んでいきます。

監査役・監査役会

当社における監査役は4名であり、常勤監査役2名と社外監査役2名で構成しています。

各監査役は取締役会に出席して適宜意見を述べるとともに、常勤監査役はその他重要な会議への出席、取締役などからの職務の執行状況についての報告、さらには本社、主要な事業所および子会社への往査などを通じて経営状況の監視、助言に努め、内部統制の維持・向上に寄与しています。
また、会計監査人や内部監査部門とも適切に連携しています。

毎月開催する監査役会では、常勤監査役による監査実施状況などの情報を社外監査役と共有するとともに、取締役などから重要な事業の状況の報告、また、会計監査人から監査上の主要な検討事項の内容および決定理由などの報告を受けています。

また、監査の方針および監査計画、会計監査人の監査の方法および結果の相当性などの重要事項を協議・決定しています。

コーポレート・ガバナンス強化の取り組み
  • 1971年 事業部制の導入
  • 2006年 取締役数のスリム化(30名→17名)
  • 2006年 執行役員制度導入
  • 2010年 独立役員の指定
  • 2016年 取締役数のスリム化(17名→11名)
  • 2017年 取締役会の実効性評価の実施
  • 2019年 役員制度を改定し、役員数と階層を削減
  • 2022年 取締役会構成の見直し
    (独立社外取締役が3分の1以上)

コーポレート・ガバナンス報告書

新しいウインドウで PDF を開きます コーポレート・ガバナンス報告書(最終更新日:2024年2月13日)PDF[307.6KB/13ページ]

政策保有株式

基本方針

事業の拡大、持続的発展のためには、さまざまな企業との協力関係が不可欠です。
企業価値を向上させるための中長期的な視点に立ち、当社は、政策保有株式について、事業戦略上の重要性、取引先との事業上の関係などを総合的に勘案し、保有の必要性を判断していく方針です。

議決権の行使

投資先の経営方針を尊重した上で、中長期的な企業価値向上や、株主還元姿勢、コーポレート・ガバナンスおよび社会的責任の観点から議案ごとに確認して、議決権の行使を判断します。

保有の適否検証

毎年、政策保有株式について、保有のねらいおよび保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかなどを取締役会で検証しています。
具体的には、個別銘柄ごとの株主総利回りと加重平均コストとの比較および保有先のROEによる定量的情報に加え、取引状況や今後の事業関係の見通しなどの定性的情報に基づく検証を実施しています。
実績としましては、2010年度の保有上場銘柄46銘柄に対し、2022年度は35銘柄と減少させています。

内部統制

内部統制評価のしくみ(J-SOX)

内部統制評価のしくみ(J-SOX)

当社は会社法に基づき、2006年5月に「内部統制の整備に関する基本方針」(以下、「基本方針」)を取締役会で決議し、各部門の年度方針や日常管理に織り込んだ上で、コンプライアンス、リスク管理、業務の有効性・効率性の徹底に取り組んでいます。
そして、毎年3月のCSR委員会で、「基本方針」の1年間の達成状況を評価し、しくみの見直し、日常管理の徹底など、次年度に向けた取り組みを確認しています。

さらに当社は、金融商品取引法(J-SOX法)に基づき、財務報告の信頼性確保に向けた内部統制システムの構築と適正な運用を行い、その整備・運用状況については、内部監査部門が点検し監査法人による監査を受けています。
その対象会社は、当社グループから、財務報告の信頼性におよぼす影響の重要性を考慮して決定しています。
2023年3月期現在の当社グループの財務報告に係る内部統制は有効であると判断し、内部統制報告書を2023年6月に提出しました。
なお当社の内部統制報告書については、監査法人から適正である旨の監査報告が提出されています。

コンプライアンス

基本的な考え方

当社は、コンプライアンスを法令だけでなく、倫理や社会常識を守ることも含むものとし、経営トップのリーダーシップのもと、当社グループ全体でコンプライアンスを推進していくことが重要と考えています。

そのため、「CSR委員会」(委員長:社長)の下部組織として、「コンプライアンス分科会」(分科会長:法務担当役員)を設置し、毎年、当社グループ全体の活動方針を策定し、その実施状況をフォローしています。
贈収賄・腐敗、独占禁止法違反を含め、当社グループの重大な違反はコンプライアンス分科会へ報告される体制を整えています。

なお、2022年度のフォークリフト用エンジン認証での法規違反の問題を受け、外部専門家のアドバイスを得ながら、コンプライアンスリスクの把握を徹底し、遵守体制・活動を見直し、改善に努めていきます。

当社グループの重大コンプライアンス違反件数
CSR委員会配下のコンプライアンスと情報セキュリティの推進体制

社員行動規範の策定・教育周知の徹底

当社は、コンプライアンス(贈収賄・腐敗・利益供与防止、独占禁止法遵守など)、人権尊重、安全・健康、環境保全など、従業員が守るべき行動を「豊田自動織機 社員行動規範」にまとめ、役員および全従業員に配付し、集合研修などで周知しています。
国内外の連結子会社においても、各社の業種・企業文化に合わせた行動規範(海外では Code of Conduct)を策定し、年1回の教育・啓発を全社で実施しています。
2023年4月には、TOPIC記載の社員行動規範の改訂の周知と合わせて、フォークリフト用エンジン認証での法規違反の問題をうけて再発防止に取り組むことについて、コンプライアンス意識を高めるためのミーティングを行っています。
また、当社および国内連結子会社の従業員のコンプライアンスに対する理解を一層深めるため、eラーニング教材を48テーマ、コンプライアンスミニテストを48テーマ作成・配信(2023年3月現在)し、自主的に学べる環境を整備しています。

■当社、国内連結子会社および海外連結子会社における社員行動規範教育・啓発実施率:100%

eラーニングのテーマ例

コンプライアンス、独占禁止法、贈収賄防止、人権、
ハラスメント、安全行動、環境保護、機密管理、製造物責任、
会計処理、品質、輸出入管理

eラーニング受講者数(延べ)(単体)

【トピック】「豊田自動織機 社員行動規範」の改訂

豊田自動織機 社員行動規範

当社は、社会と価値観を共有した企業活動をさらに推進していくため、2021年度にサステナビリティ方針・人権方針を策定しました。
これらの方針を実現するため、2014年に策定した「豊田自動織機 社員行動規範」を、2023年4月に改訂しました。

SDGsをはじめとするさまざまな課題への取り組みが一層求められる中、当社に期待される役割を踏まえ、従業員一人ひとりの行動規範として内容を見直しました。

従業員一人ひとりがこの行動規範を実践することにより社会的責任を果たし、持続可能な社会の実現に貢献していけるよう全社ミーティングの開催やカードの配付など教育周知に取り組んでいます。

新しいウインドウで PDF を開きます トップメッセージ(社員行動規範) PDF[91.1KB/1ページ]
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贈収賄防止/腐敗防止の取り組み

贈収賄についてはこれを禁止・防止するため2014年に「贈収賄防止グローバルガイドライン」(腐敗指数の高い国では当該国の法律に準拠した国別の規程)を策定しています。

【トピック】「豊田自動織機グループ贈収賄防止方針」の策定

当社グループの方針を社内外に向けてより明確にするため、2023年3月には、「豊田自動織機グループ贈収賄防止方針」をグローバルガイドラインの上位方針として策定し、各国・地域で周知啓発に取り組んでいます。

新しいウインドウで PDF を開きます 豊田自動織機グループ 贈収賄防止方針 PDF[83.7KB/1ページ]

独占禁止法/競争法遵守の取り組み

独占禁止法については、当社の従業員が競合他社と接触する場合の事前・事後の確認・審査を制度化し、独占禁止法への抵触が疑われるような行為をしないよう周知しています。
さらに2015年度からは、独占禁止法遵守月間を設け、競合他社との関係や取引先との適正取引(各種コスト上昇による環境変化にも取引先と真摯に対話する必要性など)について関係部門に対して独占禁止法遵守の啓発を行っています。
また、国内外の連結子会社においては、各国・地域の法令などに応じて、カルテルなどの独占禁止法・競争法の違反を防止するための教育・啓発に取り組んでいます。

内部通報制度による問題の早期発見・未然防止

当社グループでは、コンプライアンスに関して通報・相談できる内部通報制度を設けています。
日本および北米、欧州、アジア、オセアニア、南米の主要国では、従業員などがコンプライアンスに関して相談できる「企業倫理相談窓口」(社外ヘルプライン)を設け、相談者が不利益を受けることなく安心して相談できる体制を整えています。
また国内では、2022年6月に施行された改正公益通報者保護法に則した関連規則の改訂・周知活動を行い、相談者保護の徹底と、問題の早期解決に向けた取り組みの強化をはかっています。
2022年度は、当社および国内連結子会社から、労務管理、職場環境、倫理などに関する通報・相談が70件寄せられ、事実確認の上、各案件に適切に対応しました。
これらの対応は、社外弁護士の点検を受け、適切との評価を受けています。

また、主要なサプライヤーから当社のコンプライアンス違反などに関する通報・相談を受け付ける「サプライヤー相談窓口」を2016年度より設置しています。

これらの取り組みを通じ、問題の早期発見・未然防止をはかることで、「社会からより信頼される企業づくり」をめざします。

企業倫理相談窓口相談件数

コンプライアンス意識調査

当社では、従業員に対して定期的にコンプライアンス意識調査を実施し、コンプライアンス活動の浸透度、社員行動規範や内部通報窓口の認知度などについて実態把握および改善を行うことで、より効果的なコンプライアンス体制の構築に努めています。
なお、直近で実施した意識調査においては、社員行動規範・内部通報窓口ともに、認知度が95%以上であることを確認しており、良好な状況を維持するため今後も継続して改善に取り組んでまいります。

当社グループでの取り組み

当社の連結子会社では、コンプライアンス委員会(日本)とコンプライアンスオフィサー(海外)を設け、当該組織・責任者を中心に各地での自律的な活動を促進しています。
北米、欧州、中国、アジア・オセアニアの各地域では、定期的なコンプライアンス会議を開催し、地域内での連携活動も進めています。

主なコンプライアンスオフィサー

2022年度に中国では、同国内の9社が参加するコンプライアンス責任者会議を開催しました。
各社のコンプライアンス活動や最新の法令動向などについて情報を共有し、意見交換を実施しました。
会議後も、各社が相互に連携しながら活動を進めています。

中国におけるコンプライアンスオフィサー会議
中国におけるコンプライアンスオフィサー会議

中国におけるコンプライアンスオフィサー会議

税務ガバナンス

基本的な考え方

当社グループ は、「基本理念」に基づき、誠実に社会的責任を果たすことで、社会から広く信頼を得て、長期安定的に企業価値を向上させることを経営の最重要課題としています。
事業活動を行う各国・地域の税務関連法令等を遵守し適正な納税を行うことにより、社会への貢献と企業価値の維持及び向上に努めます。

税務基本方針

当社は上記基本的な考え方の下、「豊田自動織機グループ税務基本方針」を策定しました。

社員行動規範に基づき適正な納税・税務対応を行うことを目的として、会計・税務に関する研修やeラーニングなどを通じて従業員に対する教育・啓蒙活動を必要に応じて行っていきます。

新しいウインドウで PDF を開きます 豊田自動織機グループ 税務基本方針 PDF[469.1KB/1ページ]

情報セキュリティ

基本的な考え方

当社は「お客様や従業員、取引先などの個人情報、技術・営業に関わる情報は守るべき資産である」という認識に基づき、情報資産の保護とその管理強化を推進することを目的として、情報セキュリティ基本方針を定めています。

情報セキュリティ基本方針

  1. 法令遵守
    情報セキュリティに関連する法令等を周知、遵守する。
  2. 安定した基盤の維持
    情報資産を適切に管理・保護し、また情報セキュリティに関する教育・啓発を継続的に行い、安定した経営基盤の維持に努める。
  3. 安全な商品・サービスの提供
    商品・サービスの開発・設計・製造等、自社の事業活動において、情報セキュリティの対策を講じることにより、お客様や社会に対し、安全な商品・サービスを提供する。
  4. 情報セキュリティマネジメント
    情報セキュリティを運用・管理するためのガバナンス体制を構築し、継続的な推進及び改善を行う。

推進体制

「CSR委員会」(委員長:社長)の下部組織として「情報セキュリティ分科会」(分科会長:ITデジタル推進部担当役員)を設置し、情報セキュリティリスクの低減に取り組んでいます。分科会での取り組みを徹底するため、当社の各部門で機密管理責任者※1、機密管理推進者※2を選任しています。国内外の連結子会社へは、各地域で定期的にIT管理者会議を開催し、社内外の事例および対策情報の共有や方針の展開などにより、当社グループ全体でセキュリティレベルと意識の向上に取り組んでいます。

※1各部門の部門長。
※2部門長が指名した部内の推進担当者。

CSR委員会配下のコンプライアンスと情報セキュリティの推進体制

情報セキュリティマネジメント

情報セキュリティ監視とインシデント対応

サイバー攻撃の早期検知と迅速な対応のため、当社グループのパソコンなど全端末に対する24時間365日のセキュリティ監視体制およびインシデント対応体制を構築しています。
また、脅威情報については国内外の連結対象会社と共有し、各社内での注意喚起を速やかに実施しています。

重大インシデントの発生件数:0件

情報セキュリティ教育の実施

CyberNow
サイバーセキュリティ啓発サイトのロゴ
サイバーセキュリティ白書
サイバーセキュリティ白書

従来のメール訓練、サイバーセキュリティ啓発サイトの公開に加えて、さらなる情報セキュリティの意識啓発強化のため、過去に当社グループで発生した被害事例やセキュリティ対策の現状、および今後の課題などを記載した「サイバーセキュリティ白書」を作成しました。
なお、白書は英語版も作成し、海外を含めた連結対象会社にも展開することでグループ全体としての意識向上をはかっています。

機密情報漏洩の防止

機密管理責任者および推進者による職場単位での活動の強化をはかるため、その役割や、機密情報漏洩の損害リスク、対応内容などを記載した機密管理責任者・推進者ガイドブックを作成・展開しました。
今後は国内外の連結子会社へも展開していく予定です。

情報セキュリティ監査の実施

オールトヨタセキュリティガイドライン(ATSG)※3に基づき、当社および国内外の連結対象会社の情報セキュリティの取り組み状況を年1回点検することにより、情報セキュリティレベルの維持・継続的な向上に努めています。
またATSGの点検においては、実施している根拠まで確認するなど、さらなる活動レベルの向上をはかっています。

※3NIST CSFやISO27000シリーズに準拠したトヨタグループでのセキュリティガイドライン

主な取り組み事例

2022年度の取り組み
  • 国内外の連結対象会社に対する緊急セキュリティ点検の実施
  • 国内関係会社のセキュリティレベル向上活動計画(3ヵ年計画)の策定と実施の合意
  • サイバーセキュリティ白書の作成・発行
  • サイバーセキュリティ啓発サイトの公開
  • 仕入先セキュリティレベルの状況把握と是正依頼
  • 機密管理責任者・推進者ガイドブックの作成・発行
  • 商品開発向けの品質管理規程へのセキュリティ要件の入れ込み

リスク管理

基本的な考え方

当社は、会社法に基づく「内部統制の整備に関する基本方針」に沿って、リスク管理に関する規程や体制の整備を行っています。リスク管理については、次の項目を基本として取り組んでいます。

  1. リスクの未然防止や低減への取り組みを日々の業務の中に織り込み、その実施状況をフォローすること。
  2. リスクが顕在化した場合には、迅速かつ的確な緊急対応により、事業や社会への影響を最小化するための適切な行動を徹底していくこと。

推進体制

リスクマネジメント体制
リスクマップ

当社は毎年、安全、品質、環境、人事労務、輸出取引、災害、情報セキュリティなどにおけるリスクの未然防止や低減への取り組みを、各事業部および本社各部門の活動方針に織り込み、推進しています。
その実施状況については、CSR委員会や環境委員会などの機能別の会議体で評価・フォローしています。
CSR委員会にリスク統括責任者を置き、全社に関わるリスクから特に重点となるもの(重点リスク)を洗い出し、各機能会議体での対策や、複数の機能にわたる新たなリスクへの対策につなげる活動を推進しています。
2022年度には新たに地政学リスクを重点リスクの一つとして特定、関係する機能各部で連携し、さまざまな取り組みを進めています。

こうした重点リスクへの対応を含め、各事業部および連結子会社のリスク管理レベルの向上を支援するため、本社の安全、品質、環境などの各機能部門は、連結子会社を含むグループ全体的な視点で規則やマニュアルを制定し、業務監査や現場点検などで確認・フォローを行っています。

当社では、「リスク対応マニュアル」を整備し、平時のリスク管理活動の他、リスクが顕在化した有事の際の初動として、経営トップへ迅速に報告し、社会や事業活動への影響の大きさを見極め、適切な対応で被害を最小化するための基本ルールを定めています。
内容については、事業や取り巻く環境の変化を考慮して都度確認し、必要に応じて改訂しています。

想定される震災への対応

当社は、大規模地震の発生による影響を重要なリスクとして捉え、事業継続計画「BCP」を策定しています。「人命第一、地域優先、迅速復旧」を基本方針として、事前の備えである「減災対策」、災害後の「初動対応」および「生産復旧」の3つの対策に、全社で取り組んでいます。

防災体制

有事の際には、初動対応から生産復旧へ迅速に移行できるよう、防災体制の強化に努めています。防災対策総本部は、本社機能部門で構成され、工場などからの情報集約と、それを踏まえた全社の意思決定を行います。

防災体制

防災に関わる人材育成の取り組み

防災対策総本部訓練

FCバス
HEV・BEV
電動車を非常用電源の一部として活用する訓練

全社を統括する防災対策総本部の重要な役割の一つとして、社内外の被災情報集約、迅速な意思決定と全社への展開があげられます。
2022年度は2021年度に引き続き、リモートで各工場の被害状況を集約し、総本部へ展開する訓練に加え、工場内の電動車(HEV、BEV、FCバス)を非常用電源の一部として活用する訓練も同時に実施しました。
今後もどのような状況でも総本部が機能するように対策を実施していきます。

全社一斉防災訓練

避難訓練
荒天時を想定した屋内への二次避難訓練

2022年度は訓練時間を拡大し、より実効性の高い防災訓練を全社一斉で実施しました。

刈谷工場では荒天時発災を想定し、屋外へ一次避難した後、安全性の確認された屋内へ二次避難する訓練を実施しました。
訓練を通して確認した新たな課題の改善を行い、ともに働く仲間やお客様・取引先様のより一層の安心・安全確保に向けて継続的に訓練を行っていきます。

各工場での個別の訓練

■動力復旧訓練

生産活動の再開に不可欠な電気・ガスなど各種動力の復旧手順をもとに、「現地・現物」での訓練を各工場で定期的に実施しています。
訓練を通じて問題の洗い出しと改善を進めていくことにより、迅速な復旧を行うための取り組みのレベルアップをはかっています。

■システム復旧訓練

システム復旧の訓練は、情報インフラ・システムの連結子会社(株)豊田自動織機ITソリューションズと共同で行い、迅速な復旧を確実に行えるように備えています。

家庭の防災の推進・啓発

2016年度より、災害時の自宅での被害回避をはかる家庭の防災対策として、「家具の転倒防止・避難経路の確保、家族間の連絡手段・集合場所の決定、防災備品・備蓄品準備」の3項目を実施するよう、全従業員とその家族へ啓発を進めています。
2022年度は外出時の防災対策として、「車や公共交通機関で外出時に地震が発生した場合の安全確保」をテーマに資料を作成・展開し防災意識向上に取り組んでいます。

今後の取り組み

近年、各地で風水害や地震が頻発しており、いつどのような状況で被災しても、円滑な初動対応が取れること、防災対策総本部の機能継続を可能とすることなどが重要だと考えています。
この考え方に基づき、引き続き防災のしくみの実効性向上に努めていきます。

当社の知的財産活動

基本的な考え方

当社は、社是である豊田綱領の「研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし」に基づき、積極的な研究開発投資のもと、その成果である発明やノウハウなどの知的財産の保護・活用を通じ、各事業の戦略に活かしています。
また、国内外で知的財産権を確実に取得し、侵害防止に努めるとともに、知的財産の保有を通じた企業価値の向上に取り組んでいます。

推進体制と特許出願件数

当社は、繊維機械をはじめ、産業車両、自動車関連などさまざまな分野に事業を拡げており、その事業の特性に応じた事業戦略に沿って、自社や他社の知的財産に関する情報などを、市場での当社の位置づけや競合関係を含めて総合的に分析し、知的財産戦略を策定しています。

社内の発明創出会議などで、守るべき技術領域を意識した発明の発掘、創出を行うとともに、他社の知的財産侵害リスクの調査結果を、開発段階ごとの研究開発審査会で報告し、担当役員が審査、承認する体制を整備しています。
また、国内外の開発拠点を持つ連結子会社とも連携し、当社グループ視点に立った知的財産の取得、侵害リスクの回避に向けて情報共有を進めています。

このような推進体制のもと、2022年度は、約1,000件の特許を出願し、2023年3月末時点で、国内外で約6,000件の特許を保有しています。

当社の過去3年の特許出願件数等

電動化・自動化への知的資本の投資

【図1】電動化関連技術の特許保有権利数の割合
【図2】自動化関連技術の出願割合(国内)

当社は、さまざまな事業で培った多様な技術やノウハウを有し、お客様にさまざまなソリューションを提供しています。
この強みを活かし、脱炭素社会の実現や労働力不足の解消に貢献する、電動化・自動化分野への研究開発を推進するとともに、当該分野での発明の創出も積極的に進めてきました。

直近5年間の当社における国内外の特許保有権利数(審査中を含む)のうち電池、エレクトロニクス商品、電動コンプレッサーに代表される電動化関連の特許出願がおよそ半分以上を占めています(図1参照)。

さらに、産業車両事業における自動化関連の発明割合も年々増えており(図2参照)、今後も、当社は知的財産を通じた競争優位性の確保に努めていきます。

当社保有特許の社外評価

近年の受賞実績

当社は、公益社団法人発明協会が主催する全国発明表彰に積極的に応募し、経済産業大臣賞をはじめとする上位賞を受賞しています。
これらの社外表彰の受賞を通じ、当社の優れた技術力を社内外に示すとともに、開発の第一線で働く従業員の発明意欲の向上をはかっています。